一級建築士 学科Ⅳ・Ⅴ拡充版|構造・施工の暗記事典(力学・木造/S造/RC造・耐震+仮設・地盤・躯体・仕上げ管理)
一級建築士 学科Ⅳ(構造)・学科Ⅴ(施工)の暗記事典【拡充版】です。構造は力学の基礎公式と木造/S造/RC造それぞれの弱点部位、施工は近年出題が急増している金額基準(建設業許可・監理技術者配置等)を中心に整理しました。巻末に全科目横断の頻出数値一覧とひっかけパターンもまとめています。
4. 構造
4-1 力学の基礎
- 力のつり合い:ΣFx=0, ΣFy=0, ΣM=0(3条件)。
- 反力算定:ローラー支点は1方向反力、ピン支点は2方向反力、固定支点は2方向反力+モーメント反力。
- 静定・不静定:反力数・部材数が力のつり合い条件数と一致すれば静定、超えれば不静定。
- 応力度:σ=N/A(軸応力度)、σ=M/Z(曲げ応力度)、τ=Q/A(せん断応力度、断面形状により補正係数あり)。
4-2 断面の性質
| 項目 | 公式・内容 |
|---|---|
| 断面二次モーメントI(矩形断面) | I=bh³/12(b:幅、h:せい) |
| 断面係数Z(矩形断面) | Z=bh²/6 |
| オイラーの座屈荷重 | Pcr=π²EI/lk²(弾性座屈荷重、細長比の2乗に反比例) |
| 座屈長さの端末条件係数 | 両端ピン:1.0、一端固定他端自由:2.0、両端固定:0.5、一端固定他端ピン:0.7(頻出の数値セット) |
4-3 荷重・外力
| 荷重種別 | ポイント |
|---|---|
| 積載荷重 | 人・家具等の荷重。室の用途ごとに床用・大梁柱基礎用・地震力用で異なる数値を用いる(住宅より事務所、劇場等が大きい) |
| 地震層せん断力係数 | Ci=Z×Rt×Ai×Co(Z:地域係数、Rt:振動特性係数、Ai:高さ方向の分布係数、Co:標準せん断力係数) |
| 標準せん断力係数Co(一次設計) | 0.2以上 |
| 標準せん断力係数Co(二次設計=保有水平耐力) | 1.0以上 |
4-4 木構造
- 壁量計算:必要壁量(床面積×係数、積雪・多雪区域や屋根重量で係数変動)と存在壁量を比較し安全性確認(小規模建築物の簡易な構造確認方法)。
- 2025年改正の壁量基準見直し:建物重量化(省エネ化に伴う断熱材増加、太陽光パネル設置等)を踏まえ、必要壁量・柱の小径基準を引き上げ(超頻出テーマ)。
- N値計算:柱頭・柱脚の接合部に必要な引抜力を算定し、金物を選定する計算方法。
- CLTパネル工法:直交集成板を面材として用いる工法、中大規模木造建築で活用(近年頻出)。
4-5 鉄骨構造(S造)
- 接合方法:高力ボルト接合(摩擦接合が一般的)、溶接接合(完全溶込み溶接、隅肉溶接)。
- 座屈:部材座屈(柱の全体座屈)、局部座屈(板要素の座屈)に注意。
- 溶接欠陥:ブローホール、スラグ巻込み、アンダーカット、溶込み不良等。
- 露出柱脚・根巻き柱脚・埋込み柱脚:柱脚の3形式、剛性・施工性の違いを比較して覚える。
4-6 鉄筋コンクリート構造(RC造)
- かぶり厚さ:鉄筋の防錆・耐火のための最小厚さ。柱・梁:屋内側で3cm以上、屋外側で4cm以上、基礎:捨てコンクリート部分を除き6cm以上等(部位・条件で規定)。
- 中性化:コンクリートのアルカリ性が空気中の二酸化炭素等により失われる劣化現象、鉄筋腐食の原因。
- 水セメント比:小さいほど強度が高く耐久性が向上する(一般に50〜65%程度で設計)。
- 曲げ先行破壊とせん断破壊:曲げ降伏後に緩やかに壊れる「曲げ破壊(靭性的)」を先行させ、急激に壊れる「せん断破壊(脆性的)」を避けるのが耐震設計の基本思想(超頻出概念)。梁のせん断補強筋はあばら筋、柱は帯筋。
4-7 耐震構造・制振・免震
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 耐震構造 | 建物自体の強度・靭性で地震力に抵抗する一般的な構造形式 |
| 制振構造 | ダンパー(オイルダンパー、鋼材ダンパー、粘性ダンパー等)でエネルギー吸収し揺れを低減 |
| 免震構造 | 免震層(積層ゴム、すべり支承等)を設け建物への地震力の伝達を低減、応答加速度・層間変形を大幅に低減 |
| 耐震診断のIs値 | 構造耐震指標。一般に0.6以上で「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い」とされる |
4-8 地盤・基礎
- 支持杭と摩擦杭:支持杭は杭先端の支持地盤の支持力に依存/摩擦杭は杭周面の摩擦力に依存(軟弱地盤が深い場合に採用)。
- 液状化現象:地震時に緩い飽和砂質地盤が液体状になり支持力を失う現象。埋立地等で注意。
- N値:標準貫入試験で得られる地盤の強さの指標。値が大きいほど地盤が締まっている。
5. 施工
5-0 施工計画の全体像・関連法規(金額基準、超頻出)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施工計画の基本 | 品質(Quality)・工程(Schedule)・コスト(Cost)・安全(Safety)のバランス(QCDS管理) |
| 建設業許可が必要な工事金額 | 建築一式工事以外:請負代金500万円未満は許可不要/建築一式工事:請負代金1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅は許可不要 |
| 特定建設業許可が必要な下請代金額(2025年2月施行・最新) | 元請が下請に発注する代金総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)。2023年1月改正で4,000万円→4,500万円から、2025年2月改正で5,000万円・8,000万円に引き上げ |
| 主任技術者・監理技術者の配置 | 元請が下請に発注する代金総額が5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)の場合は監理技術者、それ未満は主任技術者を配置 |
| 建設リサイクル法の対象工事規模 | 解体工事:床面積80㎡以上/新築・増築工事:床面積500㎡以上/修繕・模様替:請負代金1億円以上/工作物工事:請負代金500万円以上。対象工事は着手の7日前までに届出義務 |
| 建設業許可の有効期間 | 5年ごとの更新が必要 |
5-1 仮設・地盤調査・山留め
- 作業床の幅・手すり高さ:作業床は原則40cm以上、手すり高さは85cm以上。高さ2m以上の作業床端部等には墜落防止措置が必要(フルハーネス型安全帯の原則使用)。
- 標準貫入試験:63.5kgのハンマーを75cm自由落下させ、サンプラーを30cm打ち込むのに要する打撃回数(N値)を測定。
- ヒービング・ボイリング・盤ぶくれ:粘性土の押し上げ(ヒービング)/砂質地盤の湧昇破壊(ボイリング)/被圧地下水による底面持ち上がり(盤ぶくれ)。土圧起因か水圧起因かで区別する頻出ひっかけ。
- 逆打ち工法:地下躯体を上階から下階へ向けて構築しながら掘削を進める工法。工期短縮・山留め支保工の省略に有効。
5-2 基礎・鉄筋・型枠工事
- 場所打ちコンクリート杭:アースドリル工法(安定液で孔壁保護)、リバース工法(掘削水循環)、オールケーシング工法(ケーシングチューブで孔壁保護)。
- ガス圧接:鉄筋端部を突き合わせ加熱・加圧して接合。圧接後の膨らみの直径は鉄筋径の1.4倍以上、長さは1.1倍以上等の外観検査基準あり。
- 型枠の存置期間:せき板はコンクリートの圧縮強度が一定値に達するまで存置、支保工はより厳しい基準(設計基準強度の概ね100%到達等)で存置。
5-3 コンクリート・鉄骨工事
- コンクリートの空気量:普通コンクリートで4.5%程度が標準。
- コールドジョイント:先に打ち込んだコンクリートが硬化を始めた後に打ち継がれることで生じる不連続な打継ぎ面。強度・水密性低下の原因、打重ね時間の間隔厳守で防止。
- 寒中・暑中コンクリート:寒中は気温4℃以下、暑中は気温25℃超が施工上の目安。それぞれ初期凍害防止・急激な水分蒸発防止の対策が必要。
- トルシア形高力ボルト:専用レンチでピンテールが破断することにより所定の締付け軸力が導入されたことを確認する方式。
- 溶接部の検査:外観検査、超音波探傷試験(UT)、放射線透過試験(RT)、磁粉探傷試験(MT)。
5-4 防水・仕上げ工事
- シーリング工事:ワーキングジョイント(温度変化等でムーブメントが大きい目地)とノンワーキングジョイント(ムーブメントが小さい目地)で使用材料・工法を区別。
- タイル張り工法:圧着張り/改良圧着張り(タイル側にもモルタル塗布)/密着張り(振動工具使用)/マスク張り(大判タイル向け)/接着剤張り(改修工事で多用)。
- 石工事:乾式工法(ファスナーで固定、地震追従性に優れ主流)、湿式工法(モルタルで固定、白華現象のリスクあり)。
- 気密測定(C値):建物の隙間相当面積を測定し気密性能を評価する試験、近年の省エネ関連出題で登場。
5-5 施工管理(工程・品質・安全)
- ネットワーク工程表:クリティカルパス(最も所要日数が長い経路、全体工期を決定)、フロート(余裕時間)を算定し工程を最適化。
- QC七つ道具:パレート図、特性要因図(フィッシュボーン図)、ヒストグラム、散布図、管理図、チェックシート、層別。
- 熱中症対策(近年頻出):WBGT値(暑さ指数)が28℃以上で厳重警戒、31℃以上で危険とされる目安を基に作業管理。
- 建設業の働き方改革(年号が超重要):2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が罰則付きで適用(原則月45時間・年360時間)。2023年4月から中小企業の月60時間超の時間外労働の割増賃金率が25%→50%に引き上げ。
横断的な頻出数値一覧(試験直前チェック用)
| 分野 | 数値 |
|---|---|
| 層間変形角の目安 | 1/200以内 |
| 剛性率の目安 | 0.6以上 |
| 偏心率の目安 | 0.15以下 |
| コンクリート空気量(標準) | 4.5%程度 |
| 耐震診断Is値の目安 | 0.6以上 |
| 建設業許可の更新周期 | 5年ごと |
| 建築士定期講習の受講周期 | 3年ごと |
| 新築住宅の瑕疵担保責任(品確法) | 引渡しから10年間 |
頻出ひっかけパターン(対比で覚える)
- ヒービング・ボイリング・盤ぶくれ:粘性土の押し上げ/砂質地盤の湧昇破壊/被圧地下水による底面持ち上がり、で原因が異なる。
- 一次設計(許容応力度計算)と二次設計(保有水平耐力計算):Co=0.2とCo=1.0を混同しない。
- 梁のせん断補強筋(あばら筋)と柱のせん断補強筋(帯筋):部材ごとの呼び名の違いに注意。
- 露出柱脚・根巻き柱脚・埋込み柱脚:剛性の序列(埋込み>根巻き>露出)を対比で覚える。
まとめ
構造は「曲げ先行破壊を先行させる」という耐震設計の基本思想を軸に、各構造種別の弱点部位をセットで覚えると理解が深まります。施工は近年頻出の金額基準(建設業許可・監理技術者配置・建設リサイクル法)を数値とセットで押さえるのが効率的です。
本記事は学習用に整理した教材であり、公式教材ではありません。数値・基準は改正されることがあるため、試験直前には必ず受験年度の最新法令集・公式テキストで確認してください。
一級建築士 学科試験対策シリーズ一覧
はじめに
まとめ・暗記
暗記事典(拡充版)
- 学科Ⅰ・Ⅱ(計画・環境設備)
- 学科Ⅲ(法規)
- 学科Ⅳ・Ⅴ(構造・施工)(この記事)
科目別「なぜ・比較・ひっかけ」
予想問題
予想問題(科目別)
一問一答(科目別)
○×クイズ(科目別)
まず「暗記項目を1本にまとめた記事」で全体像をつかみ、科目別の「なぜ・比較・ひっかけ」で理解を深め、予想問題・一問一答・○×クイズで仕上げるのがおすすめです。
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