【一級建築士】学科試験の暗記項目を1本にまとめました(2025年法改正対応)
一級建築士の学科試験、範囲が広すぎて何から覚えればいいか分からない…そんな悩みを抱えていませんか?
この記事は、学科Ⅰ〜Ⅴ(計画・環境設備・法規・構造・施工)の頻出暗記事項を1つのテキストにまとめたものです。とくに2025年4月施行の建築基準法改正(4号特例縮小)や建築物省エネ法の適合義務化など、直近の法改正で今後数年出題が予想されるテーマも重点的にカバーしています。
通勤時間やスキマ時間にサクッと読み返せるように、数値や条文はできるだけ簡潔に整理しました。ぜひブックマークして繰り返し使ってください。
学科Ⅰ(計画)/学科Ⅱ(環境・設備)/学科Ⅲ(法規)/学科Ⅳ(構造)/学科Ⅴ(施工)
直近約20年間(2000年代後半〜2020年代)の出題傾向を踏まえ、頻出度の高い数値・定義・原則・法改正事項を整理。
※法令・基準は改正されるため、試験直前は必ず最新の法令集・告示・建築物省エネ法関連資料で確認すること。
目次
【最重要】直近の法改正・出題トレンド
建築計画
建築環境・設備
法規
構造
施工
横断的数値まとめ・頻出ひっかけパターン
0. 【最重要】直近の法改正・出題トレンド(2020年代・超頻出)
一級建築士試験は法改正の翌年度以降に高確率で出題される。以下は直近の大改正で、今後数年にわたり繰り返し出題が予想される最重要項目。
0-1 2025年4月施行:建築基準法改正(4号特例の縮小)
建築物の区分 改正前:1〜4号に区分、4号建築物(木造2階建て以下・延べ500㎡以下等)は構造審査が特例で省略可/改正後(2025年4月〜):4号区分を廃止し、「新2号建築物」「新3号建築物」に再編
新2号建築物 改正前:-/改正後(2025年4月〜):木造2階建て、または木造平屋で延べ面積200㎡超。構造関係規定の審査省略が廃止され、構造図書の審査対象に
新3号建築物 改正前:-/改正後(2025年4月〜):木造平屋かつ延べ面積200㎡以下等の小規模建築物。引き続き審査省略の特例が一部残る
木造の壁量基準・柱の小径基準 改正前:従来基準(建物の重量化未対応)/改正後(2025年4月〜):太陽光パネル設置等による建物重量化に対応し必要壁量・柱の小径基準を見直し(対象:2階建て以下・高さ16m以下・延べ300㎡以下の小規模木造)
審査対象拡大の背景 改正前:-/改正後(2025年4月〜):省エネ化に伴う断熱材・設備の重量増、構造安全性確保の必要性
覚え方のポイント:「4号特例=ほぼ廃止」「新2号=構造審査あり」「新3号=小規模なら特例継続」とセットで覚える。
0-2 2025年4月施行:建築物省エネ法改正(省エネ基準適合義務化)
適合義務化の対象拡大:従来は非住宅の大規模・中規模建築物のみ適合義務(小規模・住宅は説明義務や届出義務にとどまる)→ 2025年4月から原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務化
審査方法:建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査を実施。不適合の場合は着工不可(確認済証が交付されない)
断熱等性能等級:従来等級4が最高等級 → 等級5・6・7を新設(2022年)。2025年4月以降は等級4が最低基準(義務化ライン)
一次エネルギー消費量等級:等級6を新設(2023年)。等級4以上が適合義務のライン
ZEH水準:一次エネルギー消費量等級6・断熱等性能等級5相当。2030年度以降の新築住宅で目指す水準として位置付け
建築物省エネ法の基準構成:「外皮基準(断熱性能)」+「一次エネルギー消費量基準」の2本立て
覚え方のポイント:「2025年4月=省エネ基準適合が“義務”になった年」「断熱等級4=もはや最低ライン」。
0-3 その他、近年頻出の改正・制度(要チェック)
既存不適格建築物の増改築等に対する規制の合理化(構造耐力関係規定の遡及適用の緩和拡充)。
木造建築物の構造規定の合理化(大規模木造建築物の実現に向けた基準見直し、木造建築物の耐火性能検証法の拡充)。
建築士法改正:定期講習は3年ごとの受講義務、管理建築士の実務経験要件は3年以上、延べ面積300㎡超の建築物の設計・工事監理契約は重要事項説明・書面交付が義務化。
バリアフリー法の強化:対象建築物(特別特定建築物)の追加、努力義務から義務への拡大範囲の拡張。
耐震改修促進法:緊急輸送道路沿道建築物等の耐震診断義務化・結果公表制度。
建築物省エネ法(2021年改正含む):中規模建築物(300㎡以上)の適合義務化が先行実施済み(2021年4月)→ その後2025年に全面義務化という2段階の流れを押さえる。
カーボンニュートラル関連:2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減目標(2013年度比)と絡めた出題増加。
0-4 一級建築士学科試験の制度そのものの数値(超重要・毎年必ず使う)
試験時間(学科試験全体):6時間30分
出題形式:四肢択一式
総出題数・総得点:125問・125点満点(1問1点)
学科Ⅰ「計画」出題数:20問(20点)
学科Ⅱ「環境・設備」出題数:20問(20点)
学科Ⅲ「法規」出題数:30問(30点、法令集の持込みが認められる)
学科Ⅳ「構造」出題数:30問(30点)
学科Ⅴ「施工」出題数:25問(25点)
総得点の合格基準点(目安):概ね90点/125点程度(国土交通省公表の基本水準、年度により補正)
各科目の基準点(足切りライン、目安):各科目とも「過半の得点」が基本水準(例:計画・環境設備は20点中11点、法規・構造は30点中16点、施工は25点中13点等、年度により変動)
合格の条件:総得点が合格基準点以上、かつ全5科目それぞれが科目基準点以上(1科目でも基準点未満なら不合格=いわゆる「足切り」)
学科試験合格後の製図試験受験権:合格年を含め3年間のうち2回まで受験可能(学科免除)
近年の学科試験合格率の目安:概ね15〜20%台で推移(年度により変動、令和年度は20%台の年もあり)
1. 建築計画
1-1 建築史・様式(頻出人物・建築)
古代エジプト 建築・人物:ピラミッド、神殿建築/ポイント:巨石建築、来世観
古代ギリシャ 建築・人物:パルテノン神殿/ポイント:ドリス式オーダー、エンタシス(柱の膨らみ)、視覚補正技法
古代ローマ 建築・人物:パンテオン、コロッセオ/ポイント:ドーム架構、アーチ・ヴォールト、コンクリート(ローマンコンクリート)
ビザンチン 建築・人物:ハギア・ソフィア/ポイント:ペンデンティブドーム
ロマネスク 建築・人物:ピサ大聖堂/ポイント:厚い壁、小さな窓、半円アーチ
ゴシック 建築・人物:シャルトル大聖堂、ノートルダム大聖堂/ポイント:フライングバットレス、尖頭アーチ、リブヴォールト、ステンドグラス
ルネサンス 建築・人物:ブルネレスキ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ)、パラーディオ(ヴィラ・ロトンダ)/ポイント:遠近法、シンメトリー、古典オーダーの復興
バロック 建築・人物:ベルサイユ宮殿、サン・ピエトロ広場(ベルニーニ)/ポイント:動的な曲線、劇的な空間演出
近代建築の四大巨匠 建築・人物:ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライト、ヴァルター・グロピウス/ポイント:各人の代表作とキーワードをセットで暗記(最頻出)
ル・コルビュジエ 建築・人物:サヴォア邸/ロンシャン教会/ユニテ・ダビタシオン/ポイント:近代建築の五原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面)、モデュロール
ミース・ファン・デル・ローエ 建築・人物:バルセロナパビリオン/シーグラムビル/ファンズワース邸/ポイント:"Less is more"、ユニバーサルスペース、鉄骨とガラスの表現
フランク・ロイド・ライト 建築・人物:落水荘(カウフマン邸)/グッゲンハイム美術館/ジョンソンワックス本社/ポイント:有機的建築、プレイリースタイル
ヴァルター・グロピウス 建築・人物:バウハウス校舎/ポイント:工芸と芸術の統合、機能主義教育
アルヴァ・アアルト 建築・人物:パイミオのサナトリウム/ポイント:北欧モダニズム、人間味のある機能主義
ルイス・カーン 建築・人物:ソーク生物学研究所、キンベル美術館/ポイント:サーブド・サーバントスペース、光と構造の統合
日本の近代建築家 建築・人物:丹下健三(国立代々木競技場、広島平和記念資料館)、前川國男(東京文化会館)、村野藤吾(都ホテル)、菊竹清訓(スカイハウス、メタボリズム)/ポイント:代表作と特徴のセットで頻出
安藤忠雄 建築・人物:住吉の長屋、光の教会、直島の美術館群/ポイント:打放しコンクリート、光と閉じた壁
磯崎新・伊東豊雄・妹島和世(SANAA) 建築・人物:せんだいメディアテーク(伊東)、金沢21世紀美術館(SANAA)/ポイント:現代日本建築の代表事例として頻出
1-2 各種施設計画の基準寸法(超頻出)
住宅 項目:廊下幅(一般)/数値の目安:780mm程度(有効)
住宅 項目:階段(勾配の目安)/数値の目安:蹴上18〜20cm、踏面24〜26cm程度が使いやすいとされる(法上の最低基準とは別)
事務所 項目:1人当たり執務面積/数値の目安:8〜10㎡/人
事務所 項目:貸室の有効率(レンタブル比)/数値の目安:概ね75〜85%程度
事務所 項目:エレベーターの計画/数値の目安:5分間輸送能力・待ち時間を基準に台数算定
学校(普通教室) 項目:1人当たり面積/数値の目安:1.5〜1.9㎡/人程度
学校 項目:教室の適正規模/数値の目安:1学級35〜40人程度を想定した計画が多い(制度により変動)
オープンスクール 項目:教室と廊下の間仕切りをなくし多目的スペースと一体化した計画方式/数値の目安:用語として頻出
病院 項目:一般病床1床当たり面積/数値の目安:6.4㎡以上(医療法施行規則)
病院 項目:廊下幅(患者用、両側居室)/数値の目安:2.1m以上
病院 項目:廊下幅(患者用、片側居室)/数値の目安:1.8m以上
病院 項目:ナースステーション/数値の目安:1看護単位あたり病床数の目安(30〜50床程度)を意識した配置計画
劇場・映画館 項目:客席1人当たり幅/数値の目安:450〜500mm程度
劇場 項目:プロセニアムステージ/数値の目安:額縁舞台形式、客席と舞台が明確に分離
劇場 項目:アリーナステージ/オープンステージ/数値の目安:客席が舞台を囲む形式/舞台と客席の境界が緩やかな形式
図書館 項目:開架書架の通路幅/数値の目安:900mm程度
図書館 項目:書架の高さ(一般成人用)/数値の目安:1,800mm程度以下
美術館・博物館 項目:展示室の照度/数値の目安:絵画等は150〜300lx程度、光に弱い展示物はさらに低照度で管理
駐車場 項目:普通自動車1台当たり/数値の目安:2.5m×5.0m程度
駐車場 項目:車路幅員(一方通行)/数値の目安:3.5m以上
駐車場 項目:車路幅員(対面通行)/数値の目安:5.5m以上
駐輪場 項目:自転車1台当たり面積/数値の目安:1.2〜1.5㎡程度
集合住宅 項目:階段室型/数値の目安:プライバシー確保に優れるが共用部が非効率になりやすい
集合住宅 項目:片廊下型/数値の目安:各住戸へのアクセスが容易だがプライバシー・通風に難
集合住宅 項目:中廊下型/数値の目安:高密度化に有利だが採光・通風・プライバシーに課題
集合住宅 項目:スキップフロア型/数値の目安:エレベーター停止階を減らしつつ各住戸に外部アクセスを確保する形式
集合住宅 項目:メゾネット型/数値の目安:住戸内に階段があり2層にまたがる住戸形式
1-3 都市計画・まちづくり用語(頻出)
コンパクトシティ:都市機能を中心部に集約し、拡散を抑制する都市構造。立地適正化計画と関連。
立地適正化計画:都市機能誘導区域・居住誘導区域を定め、緩やかに誘導するまちづくり計画(都市再生特別措置法)。
職住近接:職場と住居を近接させ通勤負荷を軽減。
近隣住区論(ペリー):小学校を中心とした住区計画理論、規模は半径400m程度、幹線道路で囲まれた範囲。
ペリメーターゾーニング:街区周囲に建物を配置し中央にオープンスペースを確保。
クルドサック:袋小路状の道路形式。通過交通を排除し住区内の安全性を高める。
ボンエルフ:歩車共存道路。速度抑制のための蛇行や段差、植栽等を配置。
TOD(Transit Oriented Development):公共交通指向型開発。
PFI(Private Finance Initiative):民間資金・ノウハウを活用した公共施設整備・運営手法。
PPP(Public Private Partnership):官民連携の総称、PFIを含む広い概念。
リノベーション・コンバージョン:既存建築物の用途変更・大規模改修による再生。
ユニバーサルデザインの7原則:公平性、柔軟性、単純性、わかりやすさ、安全性、省体力、空間の確保。
バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律):ハートビル法・交通バリアフリー法を統合して2006年に制定。特別特定建築物には適合義務あり。
1-4 環境心理・行動科学用語(頻出定義)
パーソナルスペース(ホールのプロクセミックス):密接距離、個体距離、社会距離、公衆距離の4区分。
プライバシーの4形態(ウェスティン):孤独、親密、匿名、抑制。
ウェイファインディング:空間内での経路探索行動。サイン計画・ランドマーク・分岐点の視認性が重要。
アフォーダンス(ギブソン):環境が動物(人)に提供する行為の可能性。
囲まれ感(囲繞感):空間の閉鎖度に関する心理的指標。D/H比(広場の奥行と周囲建物高さの比)と関連。
シークエンス:移動に伴う景観変化の連続的な体験。
プロクセミックス:異文化間で対人距離の感覚が異なることを示す概念(ホール)。
場所(プレイス)とスペース:空間(スペース)に意味や愛着が付与されたものが場所(プレイス)。
行動観察調査(パブリックライフ):ヤン・ゲール等の広場・街路利用実態調査手法。
1-5 福祉・高齢者関連施設のキーワード
地域包括ケアシステム:高齢者が住み慣れた地域で生活継続できる支援体制(医療・介護・予防・住まい・生活支援の一体的提供)。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):安否確認・生活相談サービス付き住宅、バリアフリー構造が要件。
グループホーム(認知症高齢者グループホーム):少人数(1ユニット概ね9人以下)の要介護者等が共同生活する住居形態。
ユニットケア:施設で少人数単位(概ね10人程度)の生活単位を構成する介護手法。個室化と家庭的な環境づくりが特徴。
ケアハウス/特別養護老人ホーム/老人保健施設:施設種別ごとの機能・入所要件の違いを整理して覚える。
こども家庭庁関連施設:保育所、認定こども園等の計画基準(採光、避難、園庭面積等)も近年出題増加傾向。
1-6 環境配慮型建築・木造建築の計画(近年頻出)
CLT(Cross Laminated Timber):直交集成板。中大規模木造建築の構造材として活用、近年出題増加。
木造ハイブリッド構造:木材とRC造・S造を組み合わせ、耐火性能や中大規模化を実現する構造形式。
木造の防耐火技術:燃えしろ設計、メンブレン型耐火構造等、木造の中高層化に伴う技術。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル):計画・環境設備分野と横断して計画分野でも出題。
2. 建築環境・設備
2-1 日照・日射・採光
日照率:可照時間に対する実際の日照時間の割合
可照時間:地理的に日の出から日の入りまで日照を受けられる時間(大気などの影響考慮せず)
日影図:建物が作る影の形状を時刻ごとに描いた図。冬至日で検討することが多い(1年で最も影が長くなる日)
隣棟間隔比:冬至において一定時間日照を確保するための建物間隔の指標
昼光率:室内のある点の照度/全天空照度 ×100(%)。時刻・天候によらない指標
全天空照度(設計用):快晴時約10,000lx、薄曇り時約50,000lx、設計に用いる標準値は15,000lx
立体角投射率:昼光率算定に用いる、窓が見込む天空の割合を表す係数
直達日射・天空日射:直達日射:太陽から直接届く日射/天空日射:大気中で散乱して届く日射
日射遮蔽係数:標準ガラス(3mm)を基準とした、日射遮蔽材による日射熱取得の低減割合の指標
2-2 換気
自然換気(風力換気):風圧力による換気。風上に正圧、風下に負圧が生じ空気が流動
自然換気(温度差換気=重力換気):室内外の温度差による浮力で換気。中性帯(圧力差ゼロの高さ)が存在し、上下の開口高低差が大きいほど換気量増加
必要換気量の算定:汚染物質発生量/(室内許容濃度-外気濃度)
換気回数:換気量(㎥/h) ÷ 室容積(㎥)
シックハウス対策(法28条の2):居室に24時間換気システムの設置義務(換気回数0.5回/h以上が目安)、ホルムアルデヒド発散建材の使用面積制限(F☆☆☆☆等の等級)
クロルピリホス:使用禁止(シロアリ駆除剤成分)
第1種機械換気:給気・排気とも機械
第2種機械換気:給気機械・排気自然(室内を正圧に、クリーンルーム等)
第3種機械換気:給気自然・排気機械(室内を負圧に、トイレ・浴室等の水回り)
CO2濃度基準(建築物衛生法):室内は概ね1,000ppm以下が目安
2-3 伝熱・断熱
熱伝導率λ:材料固有の熱の伝わりやすさ(W/m·K)。値が小さいほど断熱性能が高い(発泡系断熱材等は特に小さい)
熱伝達率:固体表面と流体(空気)間の熱移動のしやすさ(W/㎡·K)
熱貫流率U値:壁体などを通した熱の伝わりやすさ全体(W/㎡·K)。値が小さいほど高断熱
熱抵抗R:熱貫流率の逆数的概念、大きいほど断熱性能が高い(㎡·K/W)
外皮平均熱貫流率(UA値):建物全体の断熱性能を表す指標、省エネ基準・断熱等性能等級と直結(近年超頻出)
平均日射熱取得率(ηA値):建物全体の日射熱取得のしやすさを表す指標
結露:表面結露と内部結露に区分。防止には断熱・気密・防湿層(室内側)の設置が重要
露点温度:空気が冷却され飽和状態(相対湿度100%)になる温度
熱橋(ヒートブリッジ):断熱層が途切れ熱が集中的に逃げる部分。柱・梁部分等で発生しやすく結露の原因になる
| 指標 | 単位 | 意味 | 断熱性が高いのは |
|---|---|---|---|
| 熱伝導率 λ | W/(m·K) | 材料そのものの熱の伝わりやすさ | 小さいほど |
| 熱伝達率 | W/(㎡·K) | 固体表面と空気の間の熱の移りやすさ | ― |
| 熱貫流率 U | W/(㎡·K) | 壁体全体を通した熱の伝わりやすさ | 小さいほど |
| 熱抵抗 R | ㎡·K/W | 熱の伝わりにくさ(熱貫流率の逆数的概念) | 大きいほど |
| 外皮平均熱貫流率 UA | W/(㎡·K) | 建物全体の断熱性能 | 小さいほど |
| 平均日射熱取得率 ηA | ― | 建物全体の日射熱の取り込みやすさ | ― |
ひっかけ頻出:R だけは「大きいほど高断熱」。λ・U・UA は「小さいほど高断熱」。
2-4 音環境
音の三要素:高さ(周波数)、大きさ(音圧レベル)、音色
音圧レベルの距離減衰:点音源・自由音場において距離が2倍になると約6dB減衰
残響時間:音源停止後、音圧レベルが60dB減衰するまでの時間(セービンの式:室容積に比例、吸音力に反比例)
遮音等級D値:空気音遮断性能、数値が大きいほど遮音性能が高い
床衝撃音遮断等級L値:軽量・重量床衝撃音の指標、数値が小さいほど遮音性能が高い(D値と評価方向が逆になる点に注意=頻出ひっかけ)
マスキング効果:ある音により他の音が聞こえにくくなる現象
NC値:室内騒音の許容値評価指標(Noise Criteria)、コンサートホール等で厳しい基準が要求される
吸音と遮音の違い:吸音:音のエネルギーを吸収し反射を減らす(室内の響き対策)/遮音:音を透過させず遮る(隣室・外部への伝搬対策)→頻出の対比概念
2-5 空気調和設備
単一ダクト方式(定風量CAV):構成シンプル、ゾーンごとの温度調整に難
単一ダクト方式(変風量VAV):風量を可変にして省エネ、個別制御可、近年の主流方式
各階ユニット方式:階ごとに空調機設置、フロア独立制御
ファンコイルユニット方式:個別制御性が高い、水配管が必要(ホテル客室等)
パッケージ方式:個別分散、中小規模建物向き
マルチパッケージ方式:1台の室外機に複数の室内機を接続、事務所ビル等で普及
蓄熱システム:夜間電力等を利用し熱を蓄え昼間利用、ピークカットに有効
全熱交換器:排気の熱(顕熱+潜熱)を給気に回収し省エネ化する換気設備
顕熱・潜熱:顕熱:温度変化に伴う熱/潜熱:状態変化(蒸発・凝縮等)に伴う熱、湿度に関連
2-6 給排水衛生設備
給水方式:水道直結直圧方式、直結増圧方式、高置水槽方式、圧力タンク方式、ポンプ直送方式
クロスコネクション:上水系統と汚染された配管系統の誤接続。厳禁事項として頻出
吐水口空間:給水栓の吐水口と水受け容器のあふれ縁との垂直距離(逆サイホン作用防止)
バキュームブレーカー:逆サイホン作用防止器具
トラップの封水深:一般に50〜100mm
破封の原因:自己サイホン作用、誘導サイホン作用、蒸発、毛細管現象、はね出し作用(頻出5パターン)
二重トラップ禁止:1系統に2つ以上のトラップを直列に設けることは禁止(排水不良の原因)
排水通気方式:各個通気方式、ループ通気方式、伸頂通気方式
BOD・COD:水質汚濁の指標(生物化学的酸素要求量/化学的酸素要求量)、値が大きいほど汚濁度が高い
節水機器・雑用水利用:雨水利用・中水利用システム、近年の省資源化出題で頻出
2-7 電気設備・照明
高圧受電:受電電圧6,600V、契約電力50kW以上で高圧受電が一般的
特別高圧:受電電圧が20,000Vを超えるもの(大規模建物)
照度(事務所執務室の目安):概ね750lx程度(JIS基準、作業内容により異なる)
光束・光度・輝度:光束(lm)=光源から出る光の量、光度(cd)=光の強さの指標、輝度(cd/㎡)=見た目の明るさ
保守率:経年による照明器具の光束減衰を見込む係数
非常用照明:停電時に一定の照度を確保する法定設備(建築基準法、床面で1lx以上等の基準)
誘導灯:消防法に基づく避難誘導のための灯火
LED照明の普及:高効率・長寿命化、演色性(Ra)の指標も出題される
太陽光発電・蓄電池:ZEB・ZEH実現のための創エネ設備として近年頻出
2-8 省エネルギー関連(近年最頻出分野)
BEI(Building Energy Index):設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量。1.0以下が省エネ基準適合の目安。
UA値(外皮平均熱貫流率)/ηA値(平均日射熱取得率):住宅の外皮性能評価に用いる指標。地域区分(1〜8地域)ごとに基準値が異なる。
PAL*(パルスター):非住宅建築物の外皮性能評価指標(年間熱負荷係数の改良版)。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル):一次エネルギー消費量を正味ゼロ又は概ねゼロにする建物。ZEB Ready、Nearly ZEB、ZEB Orientedの区分。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス):住宅版のZEB。ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedの区分。
CASBEE:建築環境総合性能評価システム。Q(環境品質)とL(環境負荷)で評価、BEE=Q/Lで格付け(Sランクが最高)。
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度):星の数で建築物の省エネ性能を表示する制度。
長期優良住宅:耐久性・耐震性・省エネ性能等の基準を満たし長期使用を認定する制度。
LCCM住宅:ライフサイクルを通じてCO2収支をマイナスにすることを目指す住宅。
3. 法規(建築基準法を中心に)
3-1 用語の定義(法2条)
建築物:土地に定着する工作物のうち屋根・柱・壁を有するもの、これに附属する門・塀等(法2条一号)
特殊建築物:学校、病院、劇場、共同住宅、百貨店、倉庫、工場、自動車車庫等(法2条二号)
建築設備:電気、ガス、給排水、換気、暖房冷房、消火、排煙、汚物処理の設備、煙突、昇降機、避雷針(法2条三号)
居室:居住・執務・作業・集会・娯楽等の目的で継続的に使用する室(法2条四号)
主要構造部:壁、柱、床、はり、屋根、階段(防火上の構造区分。基礎・間仕切壁・局部的な小階段等は除く)(法2条五号)
構造耐力上主要な部分:基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材等(施行令1条三号、法上の別区分)
耐火構造・準耐火構造・防火構造:それぞれ政令で定める技術的基準に適合するもの(法2条七号〜八号)
不燃材料・準不燃材料・難燃材料:燃焼しない性能の程度による区分(法2条九号、令108条の2)
建築:新築、増築、改築、移転(法2条十三号)
大規模の修繕・模様替:主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替(法2条十四号・十五号)
特定行政庁:建築主事を置く市町村の長、その他の市町村・都道府県では知事(法2条三十五号)
3-2 面積・高さの算定
敷地面積:敷地の水平投影面積。都市計画区域内の道路幅員4m未満の道(2項道路)は、道路中心線から2m後退した線を道路境界線とみなし、後退部分(セットバック部分)は敷地面積に不算入
建築面積:建物の外壁又は柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(軒・庇等の突出部は先端から1m後退した部分を算入)
延べ面積:各階の床面積の合計。容積率算定上、地階の住宅部分(延べ面積の1/3を限度)、エレベーター昇降路、共同住宅・老人ホーム等の共用廊下・階段は不算入の緩和あり
容積率算定上の特例:宅配ボックス設置部分の床面積不算入(一定割合まで)等、近年の合理化措置にも留意
建築物の高さ:原則地盤面からの高さ。階段室等の屋上突出部で、水平投影面積が建築面積の1/8以下かつ高さ12m以下等の条件を満たすものは高さに不算入
階数:昇降機塔、装飾塔等で水平投影面積の1/8以下のものは階数に不算入。地階も含めて算定(地階の倉庫・機械室等も階数に含む点に注意)
地階:床面が地盤面より下にあり、床面から地盤面までの高さが天井高の1/3以上のもの
地盤面:建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さ(高低差3mを超える場合は区域を分けて算定)
3-3 建築確認・手続き(法6条等)
確認が必要な建築物(法6条1項、2025年改正後の区分にも留意):特殊建築物で用途床面積200㎡超、木造で大規模なもの、木造以外で階数2以上・延べ200㎡超、都市計画区域等内のその他建築物等
確認申請の審査期間:大規模建築物等:原則35日以内、その他:原則7日以内(建築主事又は指定確認検査機関)
完了検査:工事完了後4日以内に到達するよう申請、検査済証交付まで原則使用不可(安全上・避難上支障がない場合の仮使用承認制度あり)
中間検査:特定工程を経過した際に必要な場合あり(特定行政庁が指定する特定工程、階数3以上の共同住宅の床及び梁配筋工事完了時等)
建築士による設計・工事監理が必要な規模:建物の構造・規模により一級建築士・二級建築士・木造建築士の業務範囲が区分される(建築士法3条〜3条の3)
定期報告制度:特殊建築物等の所有者・管理者に対する定期調査・検査報告義務(法12条)
3-4 集団規定:用途地域・容積率・建蔽率
第一種・第二種低層住居専用地域:低層住宅の良好な環境保護、絶対高さ制限(10mまたは12m)あり
田園住居地域:農業の利便増進と調和した低層住宅環境の保護(2018年新設、比較的新しい用途地域として出題増加)
第一種・第二種中高層住居専用地域:中高層住宅向け環境保護
第一種・第二種住居地域、準住居地域:住居の環境保護、一定の商業・工業施設許容
近隣商業地域、商業地域:商業その他業務の利便増進
準工業・工業・工業専用地域:工業の利便増進、工業専用地域は住宅・学校・病院等が建築不可
容積率:延べ面積/敷地面積。前面道路幅員12m未満の場合、指定容積率と「道路幅員×法定乗数(住居系0.4、その他0.6)」の小さい方が適用
建蔽率:建築面積/敷地面積。防火地域内の耐火建築物等・角地等で緩和(各+10%、複数要件重複で加算可)
建蔽率の適用除外:指定建蔽率80%の地域かつ防火地域内の耐火建築物等は建蔽率制限なし(100%可)
前面道路との関係:2以上の前面道路がある場合は幅員最大のものを基準に容積率算定
用途制限の例外許可:特定行政庁の許可により用途地域の制限を超える用途を認める制度(法48条ただし書)も頻出
3-5 高さ制限
道路斜線制限:前面道路の反対側境界線から一定勾配で規制(用途地域により1.25または1.5の勾配)
隣地斜線制限:隣地境界線からの高さ制限(住居系20m+1.25勾配、その他31m+2.5勾配が基本形)
北側斜線制限:低層・中高層住居専用地域等で北側の日照確保のため規制(真北方向の隣地境界線から)
日影規制:中高層建築物が冬至日に一定時間以上の日影を生じさせないよう規制。対象区域・建物規模・測定面の高さは条例で指定
絶対高さ制限:第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域で10mまたは12m
高度地区:都市計画で定める最高限度又は最低限度の高さ制限
天空率:斜線制限に代わり、天空に対する建築物の投影割合で規制を満たすことを確認する制度(斜線制限の緩和的代替措置として頻出)
| 制限 | 起点 | 勾配・高さ | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 道路斜線 | 前面道路の反対側の境界線 | 1.25(住居系)/1.5(その他) | 全用途地域 |
| 隣地斜線 | 隣地境界線 | 住居系 20m+1.25/その他 31m+2.5 | 低層住居専用地域・田園住居地域以外 |
| 北側斜線 | 真北方向の隣地境界線 | 5m+1.25(低層・田園)/10m+1.25(中高層) | 低層・中高層住居専用地域、田園住居地域 |
| 絶対高さ | ― | 10m または 12m | 低層住居専用地域・田園住居地域 |
模式図(寸法は概略)。道路斜線の起点は「建物側」ではなく「道路の反対側」の境界線。天空率で斜線制限に代えることもできる。
3-6 防火・耐火関連
防火地域・準防火地域:市街地の火災危険度に応じ都市計画で指定。規模・階数に応じ耐火・準耐火建築物等が要求される
耐火建築物が必要な場合の例:防火地域内で3階以上または延べ100㎡超、準防火地域内で4階以上の建築物等
防火区画:面積区画(原則1500㎡ごと等)、高層区画(11階以上)、竪穴区画(階段・エレベーターシャフト等)、異種用途区画
内装制限:特殊建築物・大規模建築物・無窓居室等の壁・天井の仕上げに難燃・準不燃・不燃材料を使用させる規定
防火設備・特定防火設備:防火戸、防火シャッター等。防火設備は20分間、特定防火設備は1時間の遮炎性能が必要
排煙設備:一定規模以上の建築物・居室に設置義務(施行令126条の2)
準耐火建築物の木造化:木造の中大規模建築物実現のための準耐火構造・燃えしろ設計の合理化(近年頻出)
3-7 避難規定
廊下の幅(両側居室):1.6m以上
廊下の幅(片側居室):1.2m以上(小中学校等では基準値が異なる)
直通階段までの歩行距離:主要構造部が準耐火構造・不燃材料の場合等で緩和あり、用途・構造により30m〜60m程度
2以上の直通階段設置義務:一定規模・用途(劇場、病院、共同住宅の5階以上等)で義務付け
避難階段・特別避難階段:15階以上の階等、一定条件で特別避難階段(付室・バルコニー経由)が必要
排煙上有効な開口部(自然排煙):天井から下方80cm以内の開口部で、床面積の1/50以上
非常用の照明装置:特殊建築物の居室、階数3以上かつ延べ500㎡超の建築物等の居室・廊下等に設置義務
非常用の進入口:3階以上の階に道路等に面する部分に設置義務(代替進入口の緩和規定あり)
敷地内の避難通路:屋外への出口から道又は空地に通ずる幅員1.5m以上の通路等の確保義務
3-8 構造規定(法20条・施行令)
構造計算が必要な規模:木造:高さ13m超または軒高9m超、階数3以上等(2025年改正で対象範囲変更に留意)/鉄骨造:階数4以上等/RC造:高さ20m超等。規模により一次設計・二次設計(保有水平耐力計算等)が必要
許容応力度計算:一次設計(中程度の地震動・積雪風等に対し部材が許容応力度内に収まることを確認)
保有水平耐力計算:二次設計(大地震動に対し建物が倒壊しないよう保有水平耐力Qu≧必要保有水平耐力Qunを確認)
層間変形角:地震時の各階の変形の指標。一般に1/200以内(他の技術基準クリアで1/120まで緩和可)
剛性率・偏心率:剛性率は各階の剛性バランス(0.6以上が目安)、偏心率は平面的な剛心と重心のずれ(0.15以下が目安)
木造の壁量計算・N値計算:2025年改正で必要壁量・柱の小径基準が見直し(建物重量化対応、太陽光パネル設置等を想定)
3-9 関連法規(頻出)
都市計画法:用途地域、開発許可制度(市街化区域内は原則1,000㎡以上、三大都市圏の一部区域では500㎡以上、非線引き都市計画区域・準都市計画区域は3,000㎡以上、都市計画区域・準都市計画区域外は10,000㎡(1ha)以上で許可必要)、立地適正化計画。
消防法:消防用設備等の設置基準、防火管理者選任義務(収容人員が特定用途(劇場・病院等)で30人以上、非特定用途(共同住宅・事務所等)で50人以上の場合に選任義務)、消防同意制度。
バリアフリー法:特別特定建築物の建築等の際の基準適合義務(努力義務/義務の別に注意)、対象建築物の範囲拡大が続く。
耐震改修促進法:既存不適格建築物の耐震診断・改修の努力義務、特定建築物(要緊急安全確認大規模建築物等)の指定・診断義務化。
建築物省エネ法:2025年4月から原則すべての新築建築物に省エネ基準適合を義務化(0-2参照、超頻出)。
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律):住宅性能表示制度、瑕疵担保責任の特例(新築住宅の構造耐力上主要な部分・雨水侵入防止部分は引渡しから10年間)。
建設業法:建設業許可(一般建設業・特定建設業)、主任技術者・監理技術者の配置義務。
建築士法:一級・二級・木造建築士の業務範囲、定期講習制度(3年ごとの受講義務)、延べ面積300㎡超の建築物における設計・工事監理契約の書面交付義務(重要事項説明含む)。
労働安全衛生法:作業主任者の選任、足場・墜落防止措置等。
4. 構造
4-1 力学の基礎
力のつり合い:ΣFx=0, ΣFy=0, ΣM=0(3条件)
反力算定:ローラー支点は1方向反力、ピン支点は2方向反力、固定支点は2方向反力+モーメント反力
静定・不静定:反力数・部材数が力のつり合い条件数と一致すれば静定、超えれば不静定
断面力:軸方向力N、せん断力Q、曲げモーメントM
曲げモーメント図(M図):引張側に描くのが構造力学の慣例
応力度:σ=N/A(軸応力度)、σ=M/Z(曲げ応力度)、τ=Q/A(せん断応力度、断面形状により補正係数あり)
トラス構造の解法:節点法・切断法(断面法)でトラス部材の軸力を求める
4-2 断面の性質
断面二次モーメントI(矩形断面):I = bh³/12(b:幅、h:せい)
断面係数Z(矩形断面):Z = bh²/6
断面二次半径:i = √(I/A)
座屈長さ・細長比:λ = lk/i(lk:座屈長さ)。細長比が大きいほど座屈しやすい
オイラーの座屈荷重:Pcr = π²EI/lk²(弾性座屈荷重、細長比の2乗に反比例)
座屈長さの端末条件係数:両端ピン:1.0、一端固定他端自由:2.0、両端固定:0.5、一端固定他端ピン:0.7(頻出の数値セット)
4-3 荷重・外力
固定荷重:建築物自体の重量(構造体、仕上げ等)
積載荷重:人・家具等の荷重。室の用途ごとに床用・大梁柱基礎用・地震力用で異なる数値を用いる(住宅より事務所、劇場等が大きい)
積雪荷重:積雪の単位荷重×屋根の水平投影面積×積雪深さ。多雪区域では割増あり。屋根形状係数も考慮
風荷重:速度圧q×風力係数Cf。速度圧は地表面粗度区分・基準風速・高さ等で算定
地震力:地震層せん断力Qi = Ci×Wi(Ci:層せん断力係数、Wi:当該階が支える重量)
地震層せん断力係数:Ci = Z×Rt×Ai×Co(Z:地域係数、Rt:振動特性係数、Ai:高さ方向の分布係数、Co:標準せん断力係数)
地域係数Z:地震地域係数、0.7〜1.0の範囲で地域ごとに定められる
振動特性係数Rt:建物の固有周期・地盤種別に応じ地震力を低減する係数
標準せん断力係数Co(一次設計):0.2以上
標準せん断力係数Co(二次設計=保有水平耐力):1.0以上
4-4 木構造
在来軸組構法:柱・梁による軸組構造。筋かい・耐力壁で水平力に抵抗
壁量計算:必要壁量(床面積×係数、積雪・多雪区域や屋根重量で係数変動)と存在壁量を比較し安全性確認(小規模建築物の簡易な構造確認方法)
2025年改正の壁量基準見直し:建物重量化(省エネ化に伴う断熱材増加、太陽光パネル設置等)を踏まえ、必要壁量・柱の小径基準を引き上げ(超頻出テーマ)
耐力壁の配置バランス:四分割法等により平面上の偏りを確認
N値計算:柱頭・柱脚の接合部に必要な引抜力を算定し、金物を選定する計算方法
接合金物:筋かいプレート、ホールダウン金物等、引抜力に対する接合部の補強
含水率:構造用製材の含水率は概ね20%以下(含水率が高いと強度低下・変形の原因)
CLTパネル工法:直交集成板を面材として用いる工法、中大規模木造建築で活用(近年頻出)
4-5 鉄骨構造(S造)
接合方法:高力ボルト接合(摩擦接合が一般的)、溶接接合(完全溶込み溶接、隅肉溶接)
座屈:部材座屈(柱の全体座屈)、局部座屈(板要素の座屈)に注意
幅厚比:板要素の幅と厚さの比。大きいと局部座屈しやすい(FA〜FDのランク区分)
ブレース構造:筋かい(ブレース)で水平力に抵抗する構造形式
耐火被覆:鉄骨は高温で強度低下するため、耐火建築物では耐火被覆が必要(吹付け、巻付け、成形板等)
溶接欠陥:ブローホール、スラグ巻込み、アンダーカット、溶込み不良等
露出柱脚・根巻き柱脚・埋込み柱脚:柱脚の3形式、剛性・施工性の違いを比較して覚える
4-6 鉄筋コンクリート構造(RC造)
かぶり厚さ:鉄筋の防錆・耐火のための最小厚さ。柱・梁:屋内側で3cm以上、屋外側で4cm以上、基礎:捨てコンクリート部分を除き6cm以上等(部位・条件で規定)
鉄筋とコンクリートの付着:異形鉄筋を用いることで付着性能を確保
長期・短期許容応力度:コンクリートの許容応力度は長期/短期で異なり、短期は長期の概ね2倍程度が基本的な考え方
中性化:コンクリートのアルカリ性が空気中の二酸化炭素等により失われる劣化現象、鉄筋腐食の原因
水セメント比:小さいほど強度が高く耐久性が向上する(一般に50〜65%程度で設計)
スランプ値:コンクリートの軟らかさ(施工性)を示す指標、値が大きいほど軟らかい
梁のせん断補強筋(あばら筋):せん断破壊(脆性破壊)を防止し曲げ降伏が先行するよう配置(靭性確保)
柱のせん断補強筋(帯筋):同様にせん断破壊防止、靭性確保に寄与
曲げ先行破壊とせん断破壊:曲げ降伏後に緩やかに壊れる「曲げ破壊(靭性的)」を先行させ、急激に壊れる「せん断破壊(脆性的)」を避けるのが耐震設計の基本思想(超頻出概念)
4-7 耐震構造・制振・免震
耐震構造:建物自体の強度・靭性で地震力に抵抗する一般的な構造形式
制振構造:ダンパー(オイルダンパー、鋼材ダンパー、粘性ダンパー等)でエネルギー吸収し揺れを低減
免震構造:免震層(積層ゴム、すべり支承等)を設け建物への地震力の伝達を低減、応答加速度・層間変形を大幅に低減
靭性(じんせい):破壊に至るまでの変形能力。靭性が高いほど地震時のエネルギー吸収能力が高い
保有水平耐力:建物が保有する終局的な水平耐力。必要保有水平耐力以上であることを確認(二次設計)
耐震診断のIs値:構造耐震指標。一般に0.6以上で「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い」とされる(耐震改修促進法関連で頻出)
| 方式 | 考え方 | 主な装置・キーワード |
|---|---|---|
| 耐震 | 建物自体の強度・靭性で地震力に抵抗 | 保有水平耐力、靭性 |
| 制振 | ダンパーでエネルギーを吸収し揺れを低減 | オイル・鋼材・粘性ダンパー |
| 免震 | 免震層で建物への地震力の伝達を低減 | 積層ゴム、すべり支承 |
模式図。黒い太線=強い架構、橙の斜材=ダンパー、緑=積層ゴム等の免震装置。
4-8 地盤・基礎
支持地盤:建物荷重を支持できる十分な強度を持つ地盤
直接基礎:フーチング基礎、べた基礎等、地盤で直接支持
杭基礎:支持杭(先端の支持力に依存)、摩擦杭(周面摩擦力に依存)
液状化現象:地震時に緩い飽和砂質地盤が液体状になり支持力を失う現象。埋立地等で注意(近年の大地震での被害事例が頻出)
圧密沈下:粘性土地盤で長期的に荷重により間隙水が排出され沈下する現象
N値:標準貫入試験で得られる地盤の強さの指標。値が大きいほど地盤が締まっている
不同沈下:建物各部で沈下量が異なることで生じる傾き・損傷。地盤改良や基礎形式の工夫で対策
5. 施工【強化版】
5-0 施工計画の全体像・関連法規(金額基準を明記)
施工計画の基本:品質(Quality)・工程(Delivery/Schedule)・コスト(Cost)・安全(Safety)のバランス(QCDS管理)、近年は環境(Environment)を加えたQCDSEで語られることも
事前調査:敷地条件(近隣状況、地中埋設物、地盤、電波障害)、法規制、労働環境、輸送経路の調査
施工計画書の種類:総合施工計画書(全体方針)、工種別施工計画書(各工事の詳細手順)
仮設計画の分類:共通仮設(仮囲い、仮設事務所、揚重機等、直接工事に紐づかない)と直接仮設(足場、型枠支保工等、特定工種に付随)
建設業許可が必要な工事金額(軽微な建設工事の基準):建築一式工事以外:請負代金500万円未満は許可不要/建築一式工事:請負代金1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅は許可不要(建設業法3条1項ただし書、施行令1条の2)
特定建設業許可が必要な下請代金額(2025年2月1日施行・最新):元請が下請に発注する代金総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合に必要。2023年1月改正で4,000万円→4,500万円(建築一式6,000万円→7,000万円)、さらに2025年2月改正で5,000万円・8,000万円に引き上げ(改正の推移が頻出)
主任技術者・監理技術者の配置:元請が下請に発注する代金総額が5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)の場合は監理技術者、それ未満は主任技術者を配置(建設業法)
技術者の専任配置が必要な請負金額:公共性のある工作物等で請負代金額4,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)の場合、技術者を工事現場に専任で配置(2025年2月改正で引き上げ後の数値)
施工体制台帳・施工体系図:下請負人を含めた施工体制を明示する台帳・体系図。公共工事は原則作成義務、民間工事は下請代金の総額が4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)等の場合に作成義務(金額は特定建設業許可の基準と連動して改正)
施工者の義務:施工計画書・施工図の作成、工事監理者との連携、品質記録の保存、建築士(工事監理者)への報告
建設リサイクル法の対象工事規模:建築物の解体工事:床面積80㎡以上/建築物の新築・増築工事:床面積500㎡以上/建築物の修繕・模様替(リフォーム等):請負代金1億円以上/建築物以外の工作物(外構・土木等):請負代金500万円以上。対象工事は工事着手の7日前までに発注者から都道府県知事等へ届出義務
建設業許可の区分:一般建設業許可・特定建設業許可の2区分。上記の金額基準(5,000万円/8,000万円)で判定
建設業許可の有効期間:5年ごとの更新が必要
5-1 仮設工事(詳細)
仮囲い:工事現場と外部を区切る仮設の囲い、高さ1.8m以上(工事の種類・規模により法令・条例で規定)
足場の種類:単管足場、枠組足場、くさび緊結式足場、システム足場、つり足場
作業床の幅:原則40cm以上(つり足場の場合は別基準)
手すり高さ:85cm以上(中さん等を併用し墜落防止措置を強化)
墜落防止措置:高さ2m以上の作業床端部等には手すり・幅木、囲い等の措置が必要(労働安全衛生法)。開口部養生、安全帯(フルハーネス型)の使用義務化(2022年以降原則フルハーネス型)
建設用リフト・工事用エレベーター:揚重計画で重要。定期自主検査・特定自主検査の対象機械
クレーンの選定:タワークレーン、クローラークレーン、トラッククレーン等。揚重能力(定格荷重)と作業半径の関係(作業半径が大きいほど定格荷重は小さくなる)が頻出
乗入れ構台:山留め壁と一体又は独立して設け、掘削・躯体工事時の車両通行・資材搬入を確保する仮設構台
荷受け構台:高層建築物等で外部足場と一体に設け資材の荷揚げに利用する仮設構台
仮設電気・仮設給水:工事用電力(動力・照明)、仮設給排水設備の計画。漏電遮断器の設置義務等
騒音・振動対策:特定建設作業(くい打ち機、削岩機等の使用)は騒音規制法・振動規制法により規制値・届出義務あり
5-2 地盤調査(詳細)
標準貫入試験:63.5kgのハンマーを75cm自由落下させ、サンプラー(サンプリングチューブ)を30cm打ち込むのに要する打撃回数(N値)を測定。地盤の硬軟・締まり具合を評価
ボーリング調査:地盤の層構成・土質を確認する調査。標準貫入試験と併用することが多い
スウェーデン式サウンディング試験:戸建住宅等小規模建築物で用いられる簡易な地盤調査(貫入抵抗から地盤の強さを推定)
平板載荷試験:地盤に載荷板を設置し荷重を段階的に加え、地盤の支持力・変形特性を直接確認する試験
土質試験(室内試験):粒度試験、含水比試験、一軸圧縮試験、圧密試験等で土の物理的・力学的性質を確認
地下水位測定:山留め設計・排水計画・液状化検討の基礎データとして重要
5-3 山留め・仮設土留め工事
山留め壁の種類:親杭横矢板工法、鋼矢板(シートパイル)工法、柱列式地中連続壁工法(ソイルセメント柱列壁等)、壁式地中連続壁工法(RC地中壁)
山留め支保工の形式:切梁工法(水平切梁で山留め壁を支持)、アイランド工法(中央部を先行掘削し周辺部を後施工)、トレンチカット工法(周辺部を先行構築し中央部を掘削)
逆打ち工法(逆打工法):地下躯体を上階から下階へ向けて構築しながら掘削を進める工法。工期短縮・山留め支保工の省略に有効、大深度地下工事で採用
ヒービング:軟弱粘性土地盤で山留め背面の土圧により掘削底面が押し上げられる現象
ボイリング:砂質地盤で地下水の湧昇(浸透圧)により掘削底面が破壊される現象
盤ぶくれ:掘削底面下に被圧地下水がある不透水層がある場合、水圧により底面が持ち上がる現象(ヒービング・ボイリングとの違いが頻出:土圧起因か水圧起因かで区別)
排水工法:ウェルポイント工法、ディープウェル工法(地下水位低下により掘削作業性を確保、周辺地盤沈下に注意)
山留め計測管理:山留め壁の変位、切梁軸力、地下水位、周辺地盤・構造物の変位を計測し安全性を管理
5-4 基礎・地業工事(詳細)
捨てコンクリート:基礎の位置出し・墨出しのため均しコンクリートを打設(構造耐力は期待しない)
割栗地業・砕石地業:基礎スラブ下の地盤を締め固め支持力を確保する地業
既製杭工法(打込み杭):既製コンクリート杭・鋼杭をハンマー等で打ち込む工法。近隣への騒音・振動が課題
既製杭工法(埋込み杭):プレボーリングで孔をあけた後に杭を挿入・根固めする工法(プレボーリング拡大根固め工法等)。低騒音・低振動
場所打ちコンクリート杭:アースドリル工法:回転バケットで掘削し、安定液(ベントナイト溶液等)で孔壁を保護、鉄筋かご建込み後コンクリート打設
場所打ちコンクリート杭:リバース工法(リバースサーキュレーション工法):掘削水を循環させ孔壁保護と排土を行う工法、静水圧により孔壁を保護
場所打ちコンクリート杭:オールケーシング工法:ケーシングチューブを揺動・回転圧入しながら掘削し孔壁を保護、機械掘りとハンマーグラブ併用
トレミー管:場所打ち杭のコンクリート打設で、コンクリートの分離を防ぎ孔底から連続的に打設するための管
杭の支持力確認方法:載荷試験(静的載荷試験)、動的載荷試験、施工時の電流計・打撃回数管理等
支持杭と摩擦杭:支持杭:杭先端の支持地盤の支持力に依存/摩擦杭:杭周面の摩擦力に依存(軟弱地盤が深い場合に採用)
杭頭処理:場所打ち杭の余盛りコンクリート部分(レイタンス含む脆弱部)をはつり取る作業
5-5 鉄筋工事(詳細)
鉄筋の加工:曲げ加工は常温で行う(加熱曲げ禁止)。加工後の鉄筋を再度曲げ戻す(曲げ直し)は原則不可
あき・間隔:鉄筋相互のあき(コンクリートが十分にまわるための最小空間)は粗骨材最大寸法や鉄筋径を基に規定
鉄筋の継手の種類:重ね継手、ガス圧接継手、機械式継手(スリーブ継手等)、溶接継手(フレア溶接等)
ガス圧接:鉄筋端部を突き合わせ加熱・加圧して接合。圧接後の膨らみの直径は鉄筋径の1.4倍以上、長さは1.1倍以上等の外観検査基準あり。超音波探傷検査で内部欠陥を確認
継手位置のずらし:同一断面(同一箇所)に継手を集中させず、応力の小さい位置に千鳥に配置する(構造性能低下防止)
かぶり厚さの確保:スペーサー(ドーナツ型、鋼製等)により所定のかぶり厚さを確保。捨てコンクリートはかぶり厚さに算入しない
鉄筋の結束・組立:直交する鉄筋の交点を結束線で緊結、鉄筋がずれないよう組立てる
配筋検査:打設前に鉄筋の径・本数・間隔・かぶり厚さ・継手位置等を確認する重要な検査工程(中間検査対象になることもある)
5-6 型枠工事(詳細)
型枠材料:合板(コンクリート型枠用合板)、鋼製型枠、システム型枠等
支保工(サポート):パイプサポート等でスラブ・梁型枠を支持、座屈防止のための水平つなぎ材の設置が重要
セパレーター・フォームタイ:対向する型枠の間隔を一定に保持する金物
型枠の存置期間(せき板):コンクリートの圧縮強度が一定値(例:基礎・梁側面・柱・壁で5N/mm²以上等)に達するまで存置、または材齢による日数規定(気温により変動)で管理
支保工の存置期間:スラブ下・梁下の支保工は、せき板より長い期間の存置が必要(設計基準強度の概ね100%到達等、より厳しい基準)
型枠の変形・はらみ対策:コンクリート打設時の側圧に対し、型枠の剛性確保と支保工の適切な配置が必要
5-7 コンクリート工事(詳細)
コンクリートの調合管理:水セメント比、単位水量、スランプ、空気量を管理。空気量は普通コンクリートで4.5%程度が標準
スランプ値:コンクリートの軟らかさ(施工性・ワーカビリティー)を示す指標、値が大きいほど軟らかい。スランプ試験(スランプコーン)で測定
運搬:練混ぜから打込みまでの時間管理が重要(外気温により許容時間が変動、コンクリートの品質劣化・スランプロス防止)
コンクリートの打込み:一区画を連続打込み、締固めは棒形振動機(バイブレーター)を用い、加振時間・引抜き速度に注意。打重ね時間の間隔を厳守(コールドジョイント防止)
コールドジョイント:先に打ち込んだコンクリートが硬化を始めた後に打ち継がれることで生じる不連続な打継ぎ面。強度・水密性低下の原因
ジャンカ(豆板):締固め不足・型枠からのモルタル漏れ等でコンクリート表面に粗骨材が露出する欠陥
コールドウェザーコンクリート(寒中コンクリート):気温4℃以下が予想される時期に施工、初期凍害防止のための保温養生・AE剤の使用等が必要
ホットウェザーコンクリート(暑中コンクリート):気温25℃を超える時期に施工、急激な水分蒸発・コールドジョイント発生防止のための対策(打込み後速やかな養生等)が必要
マスコンクリート:断面が大きい部材で水和熱による温度ひび割れが問題となるコンクリート、温度応力解析・低発熱セメントの使用等で対策
養生(湿潤養生):打込み後、直射日光・急激な乾燥・振動を防ぎ湿潤養生を行う(普通ポルトランドセメントで5日以上、早強セメントで3日以上等)
各種試験:スランプ試験、空気量試験(エアメーター)、塩化物含有量試験、圧縮強度試験(供試体、材齢7日・28日)、非破壊検査(反発度法:シュミットハンマー等)
レディーミクストコンクリートの受入検査:現場搬入時にスランプ・空気量・塩化物量・温度を確認、規定値の許容範囲内であることをチェック
型枠の脱型直後の管理:直射日光や急激な温度変化による初期ひび割れ防止のための養生継続
5-8 鉄骨工事(詳細)
高力ボルト接合:摩擦接合が主体。ボルトの締付けは1次締め→マーキング→本締めの手順で行い、共回り・軸回りの有無を確認
トルシア形高力ボルト:専用レンチでピンテールが破断することにより所定の締付け軸力が導入されたことを確認する方式
ボルト孔・接合部の精度:ボルト孔径とボルト径の関係、板厚に応じた最小縁端距離等の規定
溶接の種類:完全溶込み溶接(突合せ溶接、部材の全断面が有効)、隅肉溶接(重ねやT継手部に用いる)
溶接施工上の留意点:予熱(低温割れ防止)、ウィービング、パス間温度の管理、エンドタブ・裏当て金の使用
溶接欠陥の種類:ブローホール(気泡)、スラグ巻込み、アンダーカット(母材の掘れ)、溶込み不良、割れ
溶接部の検査方法:外観検査、超音波探傷試験(UT、内部欠陥の検出に有効)、放射線透過試験(RT)、磁粉探傷試験(MT)
建方精度の管理:建入れ直し(建物の倒れ・ねじれを修正する作業)、控えワイヤー等で仮固定しながら本締め・本溶接
耐火被覆工法:吹付け工法(ロックウール等)、巻付け工法(耐火シート)、成形板張り工法、塗装工法(耐火塗料)
デッキプレート:床スラブの型枠兼用鋼板、スラブと一体化させる合成スラブ工法も普及
スタッド溶接:鉄骨梁とコンクリートスラブを一体化させるためのスタッドジベルの溶接
5-9 木工事
プレカット工法:工場で継手・仕口を機械加工し現場での加工を削減、精度向上・工期短縮に寄与、近年の主流
継手・仕口:継手(部材を長さ方向につなぐ)、仕口(部材を角度をもってつなぐ)。代表例:追掛け大栓継ぎ、腰掛け鎌継ぎ、ほぞ差し等
木材の含水率管理:構造用製材の含水率は概ね20%以下、乾燥材(KD材)の使用で狂い・収縮を低減
防腐・防蟻処理:土台等、地面に近い部材に薬剤処理や樹種選定(ヒノキ、ヒバ等)で対応
金物工法:接合部の耐力をボルト・金物で確保する工法、プレカットと組み合わせて普及
5-10 防水工事(詳細)
アスファルト防水(熱工法):溶融したアスファルトとルーフィングを積層する工法、信頼性が高いが臭気・煙が発生
アスファルト防水(トーチ工法):改質アスファルトルーフィングをバーナーで炙りながら張り付ける工法、熱工法より臭気が少ない
露出防水・保護防水:防水層を仕上げとして露出させるか、コンクリート等で保護するかの違い。保護防水は耐久性が高いが重量増
シート防水:塩化ビニル樹脂系シート、合成ゴム系シートを用いる。接着工法・機械的固定工法があり施工が比較的容易
塗膜防水:ウレタンゴム系等の液状材料を塗布し防水層を形成、複雑な形状にも対応しやすい
改質アスファルトシート防水(トーチ工法含む):近年主流の工法の一つ、施工性と品質のバランスに優れる
シーリング工事:目地部にシーリング材を充填し水密性・気密性を確保。ワーキングジョイント(温度変化等でムーブメントが大きい目地)とノンワーキングジョイント(ムーブメントが小さい目地)で使用材料・工法を区別
シーリング材の種類:シリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系。部位・仕上材との相性(汚染性等)で選定
バックアップ材・ボンドブレーカー:シーリング材の3面接着を防ぎ、目地の動きに追従させるための部材
5-11 左官・タイル・石工事
モルタル塗り:下塗り・中塗り・上塗りの多層仕上げが基本、各層の乾燥・ひび割れ防止のための養生期間確保
セルフレベリング材:床の水平精度を高めるため自己流動性のある材料を流し込む工法
タイル張り工法:圧着張り:下地にモルタルを塗り付けタイルを押し付けて張る工法
タイル張り工法:改良圧着張り:タイル側にもモルタルを塗り付けてから張る工法、接着力向上
タイル張り工法:密着張り(ヴィブラート工法):振動工具(タイル張り用振動機)を使いモルタルにタイルを埋め込むように張る工法
タイル張り工法:マスク張り:ユニットタイル裏面にマスク板を当ててモルタルを塗布し密着させる工法、大判タイルに適する
タイル張り工法:接着剤張り:有機系接着剤を用いる工法、内装タイルや改修工事で多用
石工事:乾式工法:ファスナー(金物)で石材を躯体に固定する工法、地震時の追従性に優れ主流
石工事:湿式工法:モルタルで石材を固定する工法、白華現象(エフロレッセンス)のリスクがある
5-12 塗装・内装・建具工事
素地ごしらえ:塗装前の下地処理(汚れ・油分除去、目荒らし、パテ処理等)が仕上がりを大きく左右する
塗装の施工制限:気温5℃以下、湿度85%以上、強風時等は塗膜の乾燥不良・付着不良のおそれがあり施工を避ける
内装工事(せっこうボード):ビス留め間隔の管理、突きつけ・目地処理(ジョイントコンパウンド処理)、防火認定品の使用箇所への留意
床仕上げ:フローリング(直張り工法・二重床工法)、タイルカーペット、長尺塩ビシート等、下地の平滑性・含水率管理が重要
建具工事:アルミサッシ、スチールサッシ、木製建具。取付け精度(レベル・鉛直)と防水(シーリング)の取り合いが重要
ガラス工事:フロート板ガラス、強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス(Low-Eガラス含む)。近年は省エネ基準対応で複層ガラスの採用が標準化
カーテンウォール:建物外壁を構成する非構造部材、層間変形追従性(地震時の層間変位に対する追従性能)が要求される。方立方式・スパンドレル方式等
ALCパネル:軽量気泡コンクリートパネル、外壁・間仕切りに使用、取付け金物(Zクリップ等)で層間変位に追従させる
断熱工事(近年最頻出):省エネ基準適合義務化(2025年4月〜)に伴い、断熱材の施工品質(隙間なく充填、気密シートの連続性、熱橋対策)に関する出題が増加。吹込み工法、吹付け硬質ウレタンフォーム、ボード系断熱材の施工precisionが問われる
気密測定(C値):建物の隙間相当面積を測定し気密性能を評価する試験、近年の省エネ関連出題で登場
5-13 解体・改修・リニューアル工事
建設リサイクル法に基づく分別解体:特定建設資材(コンクリート、木材、アスファルト等)を種類ごとに分別して解体し再資源化(対象規模は5-0参照:解体80㎡以上、新築・増築500㎡以上、修繕・模様替1億円以上、工作物500万円以上)
石綿(アスベスト)含有建材の調査・除去:解体・改修前の事前調査義務、レベル1〜3に応じた除去・封じ込め工法の選定、大気汚染防止法・石綿障害予防規則に基づく届出・作業基準
耐震改修工法:耐震壁の増設、鉄骨ブレースの増設、柱の補強(炭素繊維巻付け、鋼板巻立て)、免震・制振部材の後付け(レトロフィット)
コンバージョン(用途変更改修):既存建築物を異なる用途に改修、既存不適格の扱いや構造安全性の再確認が必要
長寿命化改修:給排水管の更新、外壁改修(タイル浮き補修:ピンネット工法、アンカーピンニング工法等)
5-14 施工管理(工程・品質・原価・安全)詳細
ネットワーク工程表(アロー型):クリティカルパス(最も所要日数が長い経路、これが全体工期を決定)、フロート(余裕時間:トータルフロート・フリーフロート)を算定し工程を最適化
バーチャート工程表(ガントチャート):視覚的にわかりやすいが工程間の関連性(先行・後続関係)が把握しにくい
ガントチャートとバーチャートの違い:ガントチャートは進捗率(出来高)表示に主眼、バーチャートは工期の視覚化に主眼という整理が出題されることがある
山積み・山崩し:労務・資材の投入量を工程表上で平準化し、過度な集中を避ける工程管理手法
品質管理の手法(QC七つ道具):パレート図(項目別頻度の把握)、特性要因図(フィッシュボーン図、原因分析)、ヒストグラム(データのばらつき把握)、散布図、管理図、チェックシート、層別
PDCAサイクル:Plan(計画)→Do(実施)→Check(確認)→Act(改善)を繰り返す品質管理の基本サイクル
検査の種類:自主検査(施工者自身)、社内検査、工事監理者による検査、行政・指定確認検査機関による検査(中間検査・完了検査)
原価管理:実行予算の作成、出来高管理、原価差異分析(見積原価と実際原価の比較)
労働災害統計指標:度数率(100万延労働時間あたりの労働災害による死傷者数)、強度率(1,000延労働時間あたりの労働損失日数)が代表的指標
安全管理体制:統括安全衛生責任者(元方事業者)、安全衛生責任者(下請)、作業主任者(特定作業ごとに選任義務)、KY活動(危険予知活動)、安全朝礼・ツールボックスミーティング
墜落・転落災害防止:建設業の労働災害で最も多い類型の一つ、フルハーネス型安全帯の原則使用、開口部養生の徹底
熱中症対策(近年頻出):WBGT値(暑さ指数)が28℃以上で厳重警戒、31℃以上で危険とされる目安を基に作業管理、休憩・水分補給の徹底が労働安全衛生法関連で出題増加
建設業の働き方改革(近年頻出・年号が超重要):2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が罰則付きで適用(原則月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間以内等)。2023年4月から中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が引き上げ(25%→50%)。週休2日制の推進が近年の施工管理分野で出題増加
5-15 施工に関する試験・検査まとめ
コンクリート:スランプ試験、空気量試験、塩化物含有量試験、圧縮強度試験、非破壊検査(反発度法)
鉄筋(ガス圧接部):外観検査(膨らみの形状)、超音波探傷検査
鉄骨溶接部:外観検査、超音波探傷試験(UT)、放射線透過試験(RT)、磁粉探傷試験(MT)
地盤:標準貫入試験(N値)、平板載荷試験、スウェーデン式サウンディング試験
杭:載荷試験(静的・動的)、施工記録(電流値、打撃回数)
建物全体の気密性能:気密測定試験(C値算定)
建物の遮音性能:現場での遮音等級測定(D値・L値の実測)
6. 横断的な数値まとめ・頻出ひっかけパターン(試験直前チェック用)
6-1 頻出数値一覧
全天空照度(設計用):15,000 lx
病室床面積(一般病床):6.4㎡/床以上
シックハウス換気回数:0.5回/h以上
廊下幅(両側居室):1.6m以上
廊下幅(片側居室):1.2m以上
層間変形角の目安:1/200以内
剛性率の目安:0.6以上
偏心率の目安:0.15以下
標準せん断力係数Co(一次設計):0.2以上
標準せん断力係数Co(二次設計=保有水平耐力):1.0以上
コンクリート空気量(標準):4.5%程度
かぶり厚さ(柱・梁、屋内):3cm以上(条件により異なる)
高さ制限対象外の屋上突出物:水平投影面積の1/8以下
排煙上有効な開口部(自然排煙):床面積の1/50以上、天井から下方80cm以内
耐震診断Is値の目安:0.6以上
断熱等性能等級(2025年義務化ライン):等級4以上
一次エネルギー消費量等級(適合義務ライン):等級4以上
6-1-2 金額基準まとめ(法規・施工/建設業関連、超頻出)
建設業許可が必要な最低ライン(建築一式以外):請負代金500万円以上
建設業許可が必要な最低ライン(建築一式):請負代金1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅
特定建設業許可が必要な下請代金額(2025年2月〜):5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)
主任技術者の専任配置が必要な請負金額(2025年2月〜):4,000万円以上(建築一式8,000万円以上)
建設業許可の更新周期:5年ごと
建築士定期講習の受講周期:3年ごと
建築士の重要事項説明・書面交付が必要な規模:延べ面積300㎡超
建設リサイクル法:解体工事の対象規模:床面積80㎡以上
建設リサイクル法:新築・増築工事の対象規模:床面積500㎡以上
建設リサイクル法:修繕・模様替工事の対象規模:請負代金1億円以上
建設リサイクル法:工作物工事の対象規模:請負代金500万円以上
建設リサイクル法の事前届出期限:工事着手の7日前まで
新築住宅の瑕疵担保責任(品確法):引渡しから10年間(構造耐力上主要な部分・雨水侵入防止部分)
開発許可が必要な面積(市街化区域):原則1,000㎡以上(三大都市圏の一部500㎡以上)
開発許可が必要な面積(非線引き区域・準都市計画区域):3,000㎡以上
開発許可が必要な面積(都市計画区域外):10,000㎡(1ha)以上
防火管理者の選任義務(特定用途):収容人員30人以上
防火管理者の選任義務(非特定用途):収容人員50人以上
建設業の時間外労働上限規制の適用開始年:2024年4月(罰則付き)
中小企業の時間外割増賃金率引上げ年:2023年4月(月60時間超で**50%**に)
一級建築士学科試験:試験時間:6時間30分
一級建築士学科試験:総出題数・満点:125問・125点
一級建築士学科試験:総得点合格ライン(目安):概ね90点
6-2 頻出ひっかけパターン(対比で覚える)
D値とL値:D値(空気音遮断)は数値が大きいほど良い/L値(床衝撃音)は数値が小さいほど良い→評価方向が逆。
吸音と遮音:吸音は室内の響きを抑える/遮音は音を透過させない。混同注意。
ヒービング・ボイリング・盤ぶくれ:粘性土の押し上げ(ヒービング)/砂質地盤の湧昇破壊(ボイリング)/被圧地下水による底面持ち上がり(盤ぶくれ)。
道路斜線・隣地斜線・北側斜線:適用範囲(全域/用途地域限定)と勾配・起点の違いを対比。
4号特例(旧)と新2号・新3号(2025年〜):旧制度と新制度の対応関係を混同しないこと。
一次設計(許容応力度計算)と二次設計(保有水平耐力計算):Co=0.2とCo=1.0を混同しない。
耐火構造・準耐火構造・防火構造:性能の強さの序列(耐火>準耐火>防火)と適用場面を混同しない。
主要構造部と構造耐力上主要な部分:前者は防火上の区分、後者は構造安全上の区分で範囲が異なる(基礎の扱い等)。
6-3 使い方のヒント
各表を「隠して自己テスト」する形式(赤シート等)にすると効率的。
法規は必ず最新の法令集で数値・条文番号を再確認すること(法改正が頻繁にあるため)。特に2025年4月施行の建築基準法改正(4号特例縮小)と建築物省エネ法の適合義務化は今後数年、高確率で出題される最重要テーマ。
構造・環境設備は計算問題との連動が多いため、暗記に加えて公式を使った演習も併用すること。
過去問演習の際は、単に正誤を覚えるのではなく「なぜその数値・規定になっているのか」という背景(安全性、省エネ、防災等の趣旨)まで理解すると応用問題に対応しやすい。
この記事のまとめ
この記事では、一級建築士学科試験の対策として、一級建築士 暗記項目テキスト(拡充版)を公開しました。法規や省エネ基準は改正が多い分野なので、ブックマークして定期的に見直すのがおすすめです。
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一級建築士 学科試験対策シリーズ一覧
はじめに
まとめ・暗記
- 学科試験対策 暗記バイブル
- 暗記項目を1本にまとめた記事(2025年法改正対応)(この記事)
- 頻出用語辞典(定義・数値・根拠条文)
- 2025年法改正・試験制度・金額基準まとめ
- 学科試験で使える裏技13選
暗記事典(拡充版)
科目別「なぜ・比較・ひっかけ」
予想問題
予想問題(科目別)
一問一答(科目別)
○×クイズ(科目別)
まず「暗記項目を1本にまとめた記事」で全体像をつかみ、科目別の「なぜ・比較・ひっかけ」で理解を深め、予想問題・一問一答・○×クイズで仕上げるのがおすすめです。
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