一級建築士 学科Ⅰ・Ⅱ拡充版|施設計画基準寸法・都市計画・環境設備の暗記事典
一級建築士 学科Ⅰ(計画)・学科Ⅱ(環境・設備)の暗記事典【拡充版】です。直近約20年間の出題傾向を踏まえ、頻出度の高い数値・定義・原則を整理しました。特に施設計画の基準寸法や、近年頻出のZEB・ZEH・CASBEEなど省エネ関連用語は要チェックです。
1. 建築計画
1-1 建築史・様式(頻出人物・建築)
| 時代/様式 | 建築・人物 | ポイント |
|---|---|---|
| 古代エジプト | ピラミッド、神殿建築 | 巨石建築、来世観 |
| 古代ギリシャ | パルテノン神殿 | ドリス式オーダー、エンタシス(柱の膨らみ)、視覚補正技法 |
| 古代ローマ | パンテオン、コロッセオ | ドーム架構、アーチ・ヴォールト、コンクリート(ローマンコンクリート) |
| ビザンチン | ハギア・ソフィア | ペンデンティブドーム |
| ロマネスク | ピサ大聖堂 | 厚い壁、小さな窓、半円アーチ |
| ゴシック | シャルトル大聖堂、ノートルダム大聖堂 | フライングバットレス、尖頭アーチ、リブヴォールト、ステンドグラス |
| ルネサンス | ブルネレスキ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ)、パラーディオ(ヴィラ・ロトンダ) | 遠近法、シンメトリー、古典オーダーの復興 |
| バロック | ベルサイユ宮殿、サン・ピエトロ広場(ベルニーニ) | 動的な曲線、劇的な空間演出 |
| 近代建築の四大巨匠 | ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライト、ヴァルター・グロピウス | 各人の代表作とキーワードをセットで暗記(最頻出) |
| ル・コルビュジエ | サヴォア邸/ロンシャン教会/ユニテ・ダビタシオン | 近代建築の五原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面)、モデュロール |
| ミース・ファン・デル・ローエ | バルセロナパビリオン/シーグラムビル/ファンズワース邸 | "Less is more"、ユニバーサルスペース、鉄骨とガラスの表現 |
| フランク・ロイド・ライト | 落水荘(カウフマン邸)/グッゲンハイム美術館/ジョンソンワックス本社 | 有機的建築、プレイリースタイル |
| ヴァルター・グロピウス | バウハウス校舎 | 工芸と芸術の統合、機能主義教育 |
| ルイス・カーン | ソーク生物学研究所、キンベル美術館 | サーブド・サーバントスペース、光と構造の統合 |
| 日本の近代建築家 | 丹下健三(国立代々木競技場、広島平和記念資料館)、前川國男(東京文化会館)、村野藤吾(都ホテル)、菊竹清訓(スカイハウス、メタボリズム) | 代表作と特徴のセットで頻出 |
| 安藤忠雄 | 住吉の長屋、光の教会、直島の美術館群 | 打放しコンクリート、光と閉じた壁 |
| 磯崎新・伊東豊雄・妹島和世(SANAA) | せんだいメディアテーク(伊東)、金沢21世紀美術館(SANAA) | 現代日本建築の代表事例として頻出 |
1-2 各種施設計画の基準寸法(超頻出)
| 施設 | 項目 | 数値の目安 |
|---|---|---|
| 住宅 | 廊下幅(一般) | 780mm程度(有効) |
| 住宅 | 階段(勾配の目安) | 蹴上18〜20cm、踏面24〜26cm程度が使いやすいとされる(法上の最低基準とは別) |
| 事務所 | 1人当たり執務面積 | 8〜10㎡/人 |
| 事務所 | 貸室の有効率(レンタブル比) | 概ね75〜85%程度 |
| 事務所 | エレベーターの計画 | 5分間輸送能力・待ち時間を基準に台数算定 |
| 学校(普通教室) | 1人当たり面積 | 1.5〜1.9㎡/人程度 |
| 学校 | 教室の適正規模 | 1学級35〜40人程度を想定した計画が多い(制度により変動) |
| 病院 | 一般病床1床当たり面積 | 6.4㎡以上(医療法施行規則) |
| 病院 | 廊下幅(患者用、両側居室) | 2.1m以上 |
| 病院 | 廊下幅(患者用、片側居室) | 1.8m以上 |
| 病院 | ナースステーション | 1看護単位あたり病床数の目安(30〜50床程度)を意識した配置計画 |
| 劇場・映画館 | 客席1人当たり幅 | 450〜500mm程度 |
| 図書館 | 開架書架の通路幅 | 900mm程度 |
| 図書館 | 書架の高さ(一般成人用) | 1,800mm程度以下 |
| 美術館・博物館 | 展示室の照度 | 絵画等は150〜300lx程度、光に弱い展示物はさらに低照度で管理 |
| 駐車場 | 普通自動車1台当たり | 2.5m×5.0m程度 |
| 駐車場 | 車路幅員(一方通行) | 3.5m以上 |
| 駐車場 | 車路幅員(対面通行) | 5.5m以上 |
| 駐輪場 | 自転車1台当たり面積 | 1.2〜1.5㎡程度 |
- オープンスクール:教室と廊下の間仕切りをなくし多目的スペースと一体化した計画方式。
- 集合住宅の型:階段室型(プライバシー確保に優れるが共用部が非効率)/片廊下型(アクセス容易だがプライバシー・通風に難)/中廊下型(高密度化に有利だが採光・通風に課題)/スキップフロア型(エレベーター停止階を減らしつつ外部アクセスを確保)/メゾネット型(住戸内に階段があり2層にまたがる)。
1-3 都市計画・まちづくり用語(頻出)
- コンパクトシティ:都市機能を中心部に集約し、拡散を抑制する都市構造。立地適正化計画と関連。
- 立地適正化計画:都市機能誘導区域・居住誘導区域を定め、緩やかに誘導するまちづくり計画(都市再生特別措置法)。
- 近隣住区論(ペリー):小学校を中心とした住区計画理論、規模は半径400m程度、幹線道路で囲まれた範囲。
- ペリメーターゾーニング:街区周囲に建物を配置し中央にオープンスペースを確保。
- クルドサック:袋小路状の道路形式。通過交通を排除し住区内の安全性を高める。
- ボンエルフ:歩車共存道路。速度抑制のための蛇行や段差、植栽等を配置。
- TOD(Transit Oriented Development):公共交通指向型開発。
- PFI/PPP:PFIは民間資金・ノウハウを活用した公共施設整備・運営手法。PPPは官民連携の総称でPFIを含む広い概念。
- ユニバーサルデザインの7原則:公平性、柔軟性、単純性、わかりやすさ、安全性、省体力、空間の確保。
- バリアフリー法:ハートビル法・交通バリアフリー法を統合して2006年に制定。特別特定建築物には適合義務あり。
1-4 環境心理・行動科学用語(頻出定義)
- パーソナルスペース(ホールのプロクセミックス):密接距離、個体距離、社会距離、公衆距離の4区分。
- プライバシーの4形態(ウェスティン):孤独、親密、匿名、抑制。
- ウェイファインディング:空間内での経路探索行動。サイン計画・ランドマーク・分岐点の視認性が重要。
- アフォーダンス(ギブソン):環境が動物(人)に提供する行為の可能性。
- 囲まれ感(囲繞感):空間の閉鎖度に関する心理的指標。D/H比(広場の奥行と周囲建物高さの比)と関連。
- シークエンス:移動に伴う景観変化の連続的な体験。
1-5 福祉・高齢者関連施設のキーワード
- 地域包括ケアシステム:高齢者が住み慣れた地域で生活継続できる支援体制(医療・介護・予防・住まい・生活支援の一体的提供)。
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):安否確認・生活相談サービス付き住宅、バリアフリー構造が要件。
- グループホーム(認知症高齢者グループホーム):少人数(1ユニット概ね9人以下)の要介護者等が共同生活する住居形態。
- ユニットケア:施設で少人数単位(概ね10人程度)の生活単位を構成する介護手法。個室化と家庭的な環境づくりが特徴。
1-6 環境配慮型建築・木造建築の計画(近年頻出)
- CLT(Cross Laminated Timber):直交集成板。中大規模木造建築の構造材として活用、近年出題増加。
- 木造ハイブリッド構造:木材とRC造・S造を組み合わせ、耐火性能や中大規模化を実現する構造形式。
- 木造の防耐火技術:燃えしろ設計、メンブレン型耐火構造等、木造の中高層化に伴う技術。
- ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル):計画・環境設備分野と横断して計画分野でも出題。
2. 建築環境・設備
2-1 日照・日射・採光
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日照率 | 可照時間に対する実際の日照時間の割合 |
| 可照時間 | 地理的に日の出から日の入りまで日照を受けられる時間(大気などの影響考慮せず) |
| 日影図 | 建物が作る影の形状を時刻ごとに描いた図。冬至日で検討することが多い(1年で最も影が長くなる日) |
| 昼光率 | 室内のある点の照度/全天空照度×100(%)。時刻・天候によらない指標 |
| 全天空照度(設計用) | 快晴時約10,000lx、薄曇り時約50,000lx、設計に用いる標準値は15,000lx |
| 直達日射・天空日射 | 直達日射:太陽から直接届く日射/天空日射:大気中で散乱して届く日射 |
2-2 換気
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自然換気(風力換気) | 風圧力による換気。風上に正圧、風下に負圧が生じ空気が流動 |
| 自然換気(温度差換気=重力換気) | 室内外の温度差による浮力で換気。中性帯(圧力差ゼロの高さ)が存在 |
| 必要換気量の算定 | 汚染物質発生量/(室内許容濃度-外気濃度) |
| 換気回数 | 換気量(㎥/h)÷室容積(㎥) |
| シックハウス対策(法28条の2) | 居室に24時間換気システムの設置義務(換気回数0.5回/h以上が目安)、ホルムアルデヒド発散建材の使用面積制限 |
| 第1種機械換気 | 給気・排気とも機械 |
| 第2種機械換気 | 給気機械・排気自然(室内を正圧に、クリーンルーム等) |
| 第3種機械換気 | 給気自然・排気機械(室内を負圧に、トイレ・浴室等の水回り) |
| CO2濃度基準(建築物衛生法) | 室内は概ね1,000ppm以下が目安 |
2-3 伝熱・断熱
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱伝導率λ | 材料固有の熱の伝わりやすさ(W/m・K)。値が小さいほど断熱性能が高い |
| 熱貫流率U値 | 壁体などを通した熱の伝わりやすさ全体(W/㎡・K)。値が小さいほど高断熱 |
| 外皮平均熱貫流率(UA値) | 建物全体の断熱性能を表す指標、省エネ基準・断熱等性能等級と直結(近年超頻出) |
| 平均日射熱取得率(ηA値) | 建物全体の日射熱取得のしやすさを表す指標 |
| 熱橋(ヒートブリッジ) | 断熱層が途切れ熱が集中的に逃げる部分。柱・梁部分等で発生しやすく結露の原因になる |
2-4 音環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 音圧レベルの距離減衰 | 点音源・自由音場において距離が2倍になると約6dB減衰 |
| 残響時間 | 音源停止後、音圧レベルが60dB減衰するまでの時間(セービンの式:室容積に比例、吸音力に反比例) |
| 遮音等級D値 | 空気音遮断性能、数値が大きいほど遮音性能が高い |
| 床衝撃音遮断等級L値 | 軽量・重量床衝撃音の指標、数値が小さいほど遮音性能が高い(D値と評価方向が逆になる点に注意=頻出ひっかけ) |
| NC値 | 室内騒音の許容値評価指標、コンサートホール等で厳しい基準が要求される |
| 吸音と遮音の違い | 吸音:音のエネルギーを吸収し反射を減らす(室内の響き対策)/遮音:音を透過させず遮る(隣室・外部への伝搬対策)→頻出の対比概念 |
2-5 空気調和設備
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 単一ダクト方式(定風量CAV) | 構成シンプル、ゾーンごとの温度調整に難 |
| 単一ダクト方式(変風量VAV) | 風量を可変にして省エネ、個別制御可、近年の主流方式 |
| ファンコイルユニット方式 | 個別制御性が高い、水配管が必要(ホテル客室等) |
| マルチパッケージ方式 | 1台の室外機に複数の室内機を接続、事務所ビル等で普及 |
| 全熱交換器 | 排気の熱(顕熱+潜熱)を給気に回収し省エネ化する換気設備 |
2-6 給排水衛生設備
- クロスコネクション:上水系統と汚染された配管系統の誤接続。厳禁事項として頻出。
- 吐水口空間:給水栓の吐水口と水受け容器のあふれ縁との垂直距離(逆サイホン作用防止)。
- トラップの封水深:一般に50〜100mm。
- 破封の原因:自己サイホン作用、誘導サイホン作用、蒸発、毛細管現象、はね出し作用(頻出5パターン)。
- 二重トラップ禁止:1系統に2つ以上のトラップを直列に設けることは禁止(排水不良の原因)。
2-7 電気設備・照明
- 高圧受電:受電電圧6,600V、契約電力50kW以上で高圧受電が一般的。
- 照度(事務所執務室の目安):概ね750lx程度(JIS基準、作業内容により異なる)。
- 非常用照明:停電時に一定の照度を確保する法定設備(建築基準法、床面で1lx以上等の基準)。
- LED照明の普及:高効率・長寿命化、演色性(Ra)の指標も出題される。
2-8 省エネルギー関連(近年最頻出分野)
- BEI(Building Energy Index):設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量。1.0以下が省エネ基準適合の目安。
- UA値/ηA値:住宅の外皮性能評価に用いる指標。地域区分(1〜8地域)ごとに基準値が異なる。
- PAL*(パルスター):非住宅建築物の外皮性能評価指標(年間熱負荷係数の改良版)。
- ZEB:一次エネルギー消費量を正味ゼロ又は概ねゼロにする建物。ZEB Ready、Nearly ZEB、ZEB Orientedの区分。
- ZEH:住宅版のZEB。ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedの区分。
- CASBEE:建築環境総合性能評価システム。Q(環境品質)とL(環境負荷)で評価、BEE=Q/Lで格付け(Sランクが最高)。
- BELS:星の数で建築物の省エネ性能を表示する制度。
- 長期優良住宅:耐久性・耐震性・省エネ性能等の基準を満たし長期使用を認定する制度。
まとめ
計画分野は建築史・建築家と施設計画基準寸法をセットで、環境・設備分野はZEB/ZEH/CASBEE等の省エネ関連用語を優先的に押さえるのが効率的です。D値とL値の評価方向の違いなど、対比で覚えるべきポイントは特にひっかけ問題で狙われやすいので要注意です。
本記事は学習用に整理した教材であり、公式教材ではありません。数値・基準は改正されることがあるため、試験直前には必ず最新の法令集・公式テキストで確認してください。
一級建築士 学科試験対策シリーズ一覧
はじめに
まとめ・暗記
暗記事典(拡充版)
- 学科Ⅰ・Ⅱ(計画・環境設備)(この記事)
- 学科Ⅲ(法規)
- 学科Ⅳ・Ⅴ(構造・施工)
科目別「なぜ・比較・ひっかけ」
予想問題
予想問題(科目別)
一問一答(科目別)
○×クイズ(科目別)
まず「暗記項目を1本にまとめた記事」で全体像をつかみ、科目別の「なぜ・比較・ひっかけ」で理解を深め、予想問題・一問一答・○×クイズで仕上げるのがおすすめです。
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