設備設計一級建築士 分野別対策テキスト【昇降機:エレベーター・エスカレーター・非常用EV編】
本記事は「設備設計一級建築士 分野別対策テキスト」シリーズの第10-12章(昇降機分野)です。平成24〜29年の過去問題を分野別に整理したオリジナル要点整理集です。
第10章 昇降機(エレベーター)
機械室・昇降路の基本寸法
エレベーター機械室の床面積は、昇降路の水平投影面積の2倍以上を確保する(又は巻上機・制御盤の保守管理に支障のない空間が確保されていればよい)。
| 定格速度 | 機械室天井高さ |
|---|---|
| 60m/min以下 | 1.8m以上 |
| 60m/min超150m/min以下 | 2.2m以上 |
| 150m/min超210m/min以下 | 2.5m以上 |
| 210m/min超 | 2.8m以上 |
頂部すき間の算定
①油入緩衝器:H = S + R + V²/1,068 + C(ストロークS(cm)=(定格速度V(m/min))²/534)
②ばね緩衝器:H = S + R + V²/720 + C(分母が1,068ではなく720)
③間接式油圧エレベーター等:頂部すき間 ≧ かごの走行距離 + (定格速度)²/706 + 2.5cm
重要:「1,068」「720」「706」という分母の違いは、緩衝器の種類(油入/ばね/間接式油圧の慣性飛び上がり)で異なる。問題文の緩衝器種別を必ず確認してから式を選ぶこと。
巻上機・主索・支持部材
駆動綱車(巻上機シーブ)の直径は、主索(ロープ)の直径の40倍以上とする。
ロープの安全率 Sf = (Nc × NR × Fo) / F ≧ 5
Nc:ロープのかけ方による係数(1:1ローピングでは1)、NR:ロープ使用本数、Fo:ロープ保証破断力(N)、F:ロープにかかる荷重(N)=ローピング倍数×(かご自重+積載量)×9.8
支持ばり(鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造)の常時作用する荷重に対する安全率は3.0以上とする。
積載荷重・定員の算定(乗用エレベーター)
法定積載荷重(N) = (かご床面積-3平方メートル) × 5,900N/平方メートル + 13,000N(かご床面積3平方メートル超の場合)
法定積載量(kg) = 法定積載荷重(N) ÷ 9.8 / 定員(人) = 法定積載量(kg) ÷ 65(kg/人)(小数点以下切り捨て)
寝台用エレベーター等、用途により係数(2,500N/平方メートル等)が異なる場合があるため、問題の前提条件を確認すること。
調速機・非常止め装置・かごの飛び上がり
- 過速スイッチ(調速機)の作動速度:定格速度の1.3倍以下
- 非常止め装置の作動速度:定格速度の1.4倍以下
- 定格速度が45m/min以下の場合は、63m/min以下の検出速度で遮断してよい
かご室の構造・戸・ガラス
- 床面から1.1m以下の部分のかご室壁にガラスを用いる場合は、床面から0.8m以上1.1m以下の高さに設ける
- かごの壁にガラスを用いる場合、合わせガラス(JIS R 3205適合)又は同等以上の飛散防止性能を有するものとする(単板の強化ガラス等は不可)
- 人荷共用エレベーターの昇降路出入口の戸及びかごの出入口の戸は、引き戸としなければならない(上げ戸は不可)
- 各階出入口の床先とかごの床先との水平距離は4cm以下、かごの床先と昇降路壁との水平距離は12.5cm以下とする
地震・保守点検・非常時運転
地震時等管制運転を行わせる加速度は、建築物の基礎における鉛直又は水平方向に生ずる0.1m/s²以上3.0m/s²以下の加速度に相当する値とする。
重要:地震発生時、走行中のかごは、避難階まで運転を継続するのではなく、最寄り階に停止させなければならない(頻出)。
昇降路頂部等の保守点検用開口部には、かぎを用いなければ昇降路外から開くことができない施錠装置付きの戸を設ける(自動閉鎖の戸で施錠装置がない場合は不適)。小荷物専用昇降機・段差解消機には、戸開走行保護装置・地震時等管制運転装置を設けなくてよい。
第11章 昇降機(エスカレーター・段差解消機・小荷物専用昇降機)
エスカレーターの基本構造
踏段幅は1.1m以下とする(1.4m等の動く歩道並みの幅は不可)。勾配は原則30度以下。
勾配30度超35度以下のエスカレーターの構造要件:
- 勾配35度以下
- 踏段の定格速度30m/min以下
- 揚程6m以下
- 踏段の奥行き寸法35cm以上
- 昇降口では踏段が2段以上水平であること
積載荷重・停止距離
踏段の積載荷重(N) ≧ 踏段面の水平投影面積(平方メートル) × 2,600N/平方メートル
無負荷上昇時の停止距離(m) = (定格速度V(m/min))² / 9,000(0.6m以下であること)
重要:停止距離の計算値がV²/9,000(m)以上であれば、実際の停止距離が計算値を上回っていても0.6m以下の範囲であれば適合となる。問題文の「以上」「以下」条件を正確に読み取ること。
トラス支持アングルのかかり代
①C>Σγ・Hの場合:B ≧ Σγ・H + 20
②C≦Σγ・Hの場合:B ≧ 2Σγ・H-C + 20
C:非固定支持側の建築物のはりとトラス支持アングルの間隔(mm)、γ:各区間の設計用層間変形角、H:各階の揚程(mm)、B:かかり代の長さ(mm) ※この式で用いる設計用層間変形角は5倍して計算する
重要:γ・Hの計算では、算定した層間変形角を5倍することを忘れないこと(頻出)。
小荷物専用昇降機・段差解消機
段差解消機は、出入口の床先とかごの床先との水平距離を4cm以下としなければならない。段差解消機・小荷物専用昇降機には、戸開走行保護装置及び地震時等管制運転装置を設けなくてよい。
第12章 非常用エレベーター特有規定
設置義務・台数
高さ31mを超える部分の各階の床面積の合計が500平方メートル以下の建築物には、非常用エレベーターは不要。
| 高さ31m超部分の最大階床面積 | 必要台数 |
|---|---|
| 1,500平方メートル以下 | 1台以上 |
| 1,500平方メートル超4,500平方メートル以下 | 2台以上 |
| 4,500平方メートル超 | 2台に、3,000平方メートルを増すごとに1台を加えた数以上 |
かご・出入口の寸法
- 非常用エレベーターのかご及び出入口の寸法並びに積載量は、JIS A4301(E-13-CO、E-17-CO等)に定める数値以上とする
- 定格速度は60m/min以上必要
- 積載量は1,150kg以上必要
乗降ロビー・昇降路の構造
非常用エレベーターの昇降路出入口や特別避難階段の階段室に通ずる出入口を除き、乗降ロビーの出入口には特定防火設備が必要(一般の防火設備では不足)。昇降路の出入口の戸は、不燃材料で作り、又は覆う必要がある(難燃材料では不足)。かごは出入口の戸を含め、不燃材料で造り、又は覆わなければならない。非常用エレベーターの制御盤は、昇降路内の最上階床面より上方に設置しなければならない。
重要:「防火設備」と「特定防火設備」、「難燃材料」と「不燃材料」の区別を問う出題が頻出。より厳しい基準が要求される箇所に一般基準を用いると不適となる。
急行ゾーン・出入口のない区間
急行ゾーンをもつ昇降路は、かごの定格速度に応じて、乗場戸や非常用出入口間の最大距離の上限が定められる(速度が速いほど短くなる)。停止階床間が10mを超える区間には、昇降路救出口が必要となる。
設備設計一級建築士 対策シリーズ一覧
はじめに
総合テキスト
分野別対策テキスト
- 排煙・換気・シックハウス・冷却塔
- 給排水衛生設備・防火区画配管貫通
- 非常用照明・避雷設備・蓄電池
- 昇降機(エレベーター・エスカレーター)(この記事)
暗記マスター表
過去問・予想問題
- 予想問題集(令和6〜7年法改正対応)
- 過去問学習ノート 目次(平成24〜29年)
- 年度別ノート:H24 / H25 / H26 / H27 / H28 / H29
まず「対策テキスト全14章」で頻出数値を押さえ、暗記マスター表と年度別の過去問ノートで仕上げるのがおすすめです。
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