1級建築施工管理技士 第二次検定【仕上げ工事】完全攻略|なぜ・比較・ひっかけ+五肢択一本試験問題5問
1級建築施工管理技士 第二次検定「仕上げ工事(問題5)」を扱います。躯体工事(問題3・4)と異なり、仕上げ工事は五肢択一式(誤っているものを1つ選ぶ形式)で出題されることが多く、似た工法名・似た数値を正確に区別できるかが得点を左右します。この記事では、暗記表に「なぜその工法・数値なのか」を添えて、混同しやすい用語をペアで整理します。
1. 出題形式と対策の考え方
五肢択一式は、5つの記述のうち1つだけ誤りが混ざっている形式です。誤りの作り方には型があり、「工法名の入れ替え」「数値の入れ替え」「工程順序の入れ替え」の3パターンに集約されます。用語を単独で覚えるのではなく、必ず「似た工法・対になる工法」とセットで覚えることが正答率を上げる近道です。
2. 防水工事:4工法の比較
| 工法 | 原理 | 留意点 |
|---|---|---|
| アスファルト防水(熱工法) | 複数枚のルーフィングを溶融アスファルトで密着させ積層 | 下地の乾燥状態、入隅・出隅の増張り |
| 改質アスファルトシート防水(トーチ工法) | シート裏面をバーナーで加熱溶融して張り付ける | 重ね幅の確保、気泡(ふくれ)の防止 |
| 合成高分子系ルーフィングシート防水 | 接着工法・機械的固定工法 | 下地の動きへの追従性、シート接合部の溶接・接着処理 |
| ウレタン塗膜防水 | 液状の防水材を複数回塗り重ねる | 膜厚管理(塗布量管理) |
なぜ工法によって留意点が違うのか:シート系(アスファルト・改質アスファルト・合成高分子系)は「重ね部・接合部」が弱点になるため、重ね幅と接合処理が最重要管理項目になります。一方、塗膜系(ウレタン)は継ぎ目のない連続被膜を作れる代わりに、職人の塗布技術によって厚みにばらつきが出やすいため、膜厚(塗布量)管理が最重要になります。「シート系=重ね、塗膜系=厚み」という対比で覚えると混同しません。
シーリング工事:2面接着と3面接着
何か:ワーキングジョイント(目地の動きが大きい部位、例:金属パネルの目地)には2面接着、ノンワーキングジョイント(動きが小さい部位、例:コンクリートの誘発目地)には3面接着とします。
なぜそうなるのか:シーリング材は接着面から動きの応力を受けます。3面(底面+両側面)接着で目地が動くと、シーリング材内部に大きなせん断応力が集中し、早期に破断します。動きの大きいワーキングジョイントでは、底面にボンドブレーカー(絶縁テープ)を挟んで底面を縁切りし、両側面のみで接着(2面接着)することで、シーリング材が伸縮に追従しやすくなります。逆に動きの小さいノンワーキングジョイントでは、3面接着でも問題が起きにくく、むしろ接着面積を増やして水密性を高める方が合理的です。
どこがひっかけなのか:「ワーキングジョイントには3面接着とする」のように、目地の性質と接着方式を入れ替えて誤りにするのが定番です。
3. タイル・石工事
| 工法 | やり方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 改良圧着張り | 下地・タイル裏面の両方にモルタルを塗って圧着 | 密着度が高く剥離しにくい |
| 密着張り(ヴィブラート工法) | 振動工具(ヴィブラート)でタイルを下地モルタルに圧着 | 施工速度は速いが、モルタルの塗り置き時間管理がシビア |
何が違うのか:改良圧着張りは「タイル側にもモルタルを塗る」という一手間が入る分、接着力が高まり剥離しにくくなります。密着張りはタイル側にモルタルを塗らない代わりに振動工具で圧着するため、施工スピードは上がりますが、下地モルタルを塗ってから張り付けるまでの時間(オープンタイム)が長すぎるとモルタル表面が乾き、接着不良の原因になります。
実務では何を意味するか:剥落防止のため、目地詰め前の打診検査と、施工後の打音検査(全数または抜取り)で浮きの有無を確認します。タイルの剥落は歩行者への被害につながるため、検査の徹底度が問われやすいテーマです。
4. 屋根・金属工事
| 用語 | ポイント |
|---|---|
| 金属製折板屋根 | タイトフレームを母屋に溶接し、折板をボルト等で固定。重ね部のシーリング・水上部の止水処理に留意 |
| カーテンウォール(PCa・金属パネル) | 層間変位に対する追従性(ロッキング方式・スライド方式等)を確保し、目地のシーリング性能を確保する |
なぜカーテンウォールに層間変位への追従性が必要か:地震時、建物の各階は水平方向にわずかにずれ動きます(層間変位)。カーテンウォールが躯体に完全に固定されていると、この層間変位がそのままパネルに伝わり、パネルが割れたり脱落したりする危険があります。ロッキング方式(パネルが回転して変位を吸収)やスライド方式(パネルがスライドして変位を吸収)は、パネル自体を「動かす」ことで躯体の変形を受け流す仕組みです。
5. 左官・塗装工事
セルフレベリング材:なぜ窓を閉め切るのか
何か:セルフレベリング材は自己水平性のある床仕上げ材で、流し込むだけでほぼ平滑な面が得られます。
なぜ施工中に通風を避けるのか:セルフレベリング材は硬化する前に自身の重みで水平に広がる性質を利用していますが、表面が部分的に早く乾燥すると、その部分だけ流動が止まり、波打ち(表面の不陸)が生じます。風が当たると表面の乾燥が不均一に進むため、施工中は窓や開口部を閉め切り、気流による乾燥ムラを防ぎます。
どこがひっかけなのか:「早期の乾燥硬化を促すため、施工中は窓を開けて通風を確保する」という誤った記述に誘導されるパターンがあります。正しくは逆で、通風は避けます。
塗装工事の素地調整(ケレン)
鉄部塗装等の下地処理として、さびや旧塗膜を除去する程度に応じて1種~4種に区分されます。塗装前の工程間隔時間(インターバル)を確保しないと、生乾きでの重ね塗りにより、乾燥不良・ちぢみ等の不具合が発生します。
6. 建具・ガラス工事
ガラスのクリアランス:なぜ隙間を空けるのか
何か:ガラスは四周にクリアランス(あき寸法)を確保し、シーリングまたはグレイジングガスケットで固定します。
なぜそうなるのか:ガラスは温度変化で熱膨張・収縮し、地震時には建具枠自体もわずかに変形します。ガラスを枠に隙間なくぴったり固定すると、この変形がそのままガラスに伝わり割れの原因になります。クリアランスは、熱膨張や地震時の変形を吸収する「遊び」として機能します。
実務では何を意味するか:複層ガラスは中空層の結露防止のため、一次シール・二次シールという二重のシール性能管理が必要です。シール性能が低下すると中空層に湿気が侵入し、内部結露(ガラス内側の曇り)が発生します。
7. 内装・断熱工事
ボード類のひび割れ防止:なぜ千鳥張りにするのか
何か:軽量鉄骨下地(LGS)にボードを張る際、継目位置をずらす「千鳥張り」を行います。
なぜそうなるのか:ボードの継目は構造的に弱点になりやすく、下地の動きや温湿度変化によってひび割れが生じやすい部位です。すべてのボードの継目を同一直線上に揃えると、その直線に沿って壁全体に連続したひび割れが発生するリスクがあります。継目位置をずらすことで、仮にひび割れが生じても一枚のボード内で止まり、壁全体に連続するのを防ぎます。
8. 出題パターンの類型
- 工法名の入れ替え型:改良圧着張りと密着張り、ロッキング方式とスライド方式など、似た工法名を入れ替える
- 数値・条件の入れ替え型:2面接着と3面接着、ケレンの種別番号を入れ替える
- 因果関係の逆転型:「通風を確保する」のように、本来避けるべき行為を推奨する記述にすり替える
9. 本試験レベル問題(五肢択一形式・5問)
次の記述のうち、誤っているものを1つ選んでください。
- ①アスファルト防水は下地の乾燥状態に留意する ②改質アスファルトシート防水は重ね幅の確保に留意する ③ワーキングジョイントには3面接着とする ④ウレタン塗膜防水は膜厚管理が重要である ⑤改良圧着張りはタイル裏面にもモルタルを塗る
解答:③が誤り。ワーキングジョイントには2面接着とする(3面接着はノンワーキングジョイント)。 - ①密着張りは振動工具でタイルを圧着する ②タイルの浮きは打音検査で確認する ③セルフレベリング材の施工中は通風を確保し早期乾燥を図る ④カーテンウォールは層間変位への追従性が必要である ⑤複層ガラスは一次・二次シールの性能を確保する
解答:③が誤り。セルフレベリング材の施工中は通風を避け、窓等を閉め切る。 - ①折板屋根はタイトフレームを母屋に溶接する ②ガラスは四周にクリアランスを確保する ③ボードは継目位置をずらして張る(千鳥張り) ④ロッキング方式は層間変位を吸収する ⑤ガラスにクリアランスを設けず枠に密着させると熱膨張・地震時の変形に強くなる
解答:⑤が誤り。クリアランスを設けないとガラスが枠の変形をそのまま受け、割れの原因になる。 - ①塗装のケレンは下地の状態に応じて種別を選定する ②工程間隔時間を守らず重ね塗りすると乾燥不良の原因になる ③改良圧着張りは密着張りより接着力が高い傾向にある ④密着張りは下地モルタルのオープンタイム管理が重要である ⑤ワーキングジョイントは動きが小さい目地を指す
解答:⑤が誤り。ワーキングジョイントは動きが大きい目地を指す(動きが小さいのはノンワーキングジョイント)。 - ①合成高分子系シート防水は接合部の処理が重要である ②タイルの剥落防止には打診・打音検査が有効である ③LGS下地はスタッド間隔・ランナー固定間隔を確保する ④フリーアクセスフロアは支持脚で水平精度を調整する ⑤複層ガラスの中空層に結露が生じるのはシール性能と無関係である
解答:⑤が誤り。中空層の結露はシール性能の低下により湿気が侵入することが原因であり、密接に関係する。
10. 直前暗記チェックシート
- □ ワーキングジョイント=2面接着、ノンワーキングジョイント=3面接着を逆に言わないか
- □ 改良圧着張り(タイル側にもモルタル)と密着張り(振動工具)の違いを説明できるか
- □ セルフレベリング材の施工中は「通風を避ける」と即答できるか
- □ ガラスにクリアランスが必要な理由(熱膨張・地震時変形の吸収)を説明できるか
- □ ボードを千鳥張りにする理由(ひび割れの連続防止)を説明できるか
- □ カーテンウォールのロッキング方式・スライド方式が層間変位にどう追従するか説明できるか
11. 今日の学習導線
- 本試験レベル問題5問を解き、誤答した設問の「なぜ」の段落を読み直す
- 直前暗記チェックシート6項目を、何も見ずに口頭で説明できるか確認する
- 躯体工事編の正誤判定演習と合わせて、「なぜその基準か」を説明する練習をペアで行う
- 翌日、表の左列(用語)だけを見て右列(留意点・理由)を再現できるか再テストする
※本記事は資格学習の要点整理を目的とした個人メモです。工法・数値の詳細は年度により改訂される場合があるため、受験前に必ず最新の公式教材でご確認ください。
1級建築施工管理技士 対策シリーズ一覧
総合
第一次検定
第二次検定
- 完全対策テキスト(全6回の目次)
- 施工経験記述(10要素フレームワーク)
- 仮設計画・安全管理+工程管理
- 躯体工事(正誤判定演習20問)
- 仕上げ工事(この記事)
- 建築法規
- 総仕上げ・直前対策(最終確認テスト20問)
まず「合格バイブル」で全体像をつかみ、第一次検定は①〜③、第二次検定は経験記述から順に取り組むのがおすすめです。
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