社会保険労務士 完全制覇①|合格戦略+労働基準法【契約期間・解雇予告・割増賃金・有給休暇】
社労士試験は「暗記量」ではなく「制度趣旨の理解」「引っかけパターンの見極め」「科目間の横断整理」で合否が決まります。第1回は合格戦略と最重要科目「労働基準法」を扱います。
合格戦略と4大ひっかけトリガーワード
選択式(40点満点):各問5点(計8科目)、原則各問3点以上が必要。択一式(70点満点):各問10点(計7科目)、総得点約45点前後+各科目4点以上。
択一式で以下のワードが出たらペンで囲み、反転(逆の規定)を疑うこと:①主語・権限者(厚生労働大臣⇔都道府県労働局長⇔労働基準監督署長)②義務・努力義務(しなければならない⇔努めなければならない)③要件(あらかじめ⇔遅滞なく)④対象外(適用除外の範囲)
均等待遇・男女同一賃金(第3条・第4条)
| 条文 | 禁止理由 | 対象分野 |
|---|---|---|
| 第3条(均等待遇) | 国籍・信条・社会的身分(限定列挙) | 賃金・労働時間その他の労働条件 |
| 第4条(男女同一賃金) | 労働者が女性であること | 「賃金」のみ |
三菱樹脂事件:労基法第3条は「雇入れ後の労働条件」を規律する条文。企業には契約締結の自由があり、思想信条を理由に採用拒否しても第3条違反にはならない。
労働契約と解雇
契約期間の上限:原則3年(例外5年:高度専門職、満60歳以上の者)。解雇予告(第20条):少なくとも30日前に予告するか30日分以上の平均賃金を支払う。予告日数+予告手当の支払日数≧30日。
解雇制限期間(第19条):業務上負傷・疾病の療養休業期間およびその後30日間、産前産後の休業期間およびその後30日間は解雇できない。
賃金支払の4原則(第24条)
①通貨で②直接労働者に③全額を④毎月1回以上一定の期日を定めて支払う。全額払の例外は法令の定め(源泉徴収等)と労使協定(社宅費等)。相殺は「労働者の自由な意思に基づく同意」がある場合等に限り許される。
労働時間・36協定の上限規制
法定労働時間:1週40時間、1日8時間。36協定の上限:原則月45時間・年360時間。特別条項付きで年720時間以内、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内、月45時間超は年6回まで。
割増賃金率:時間外25%以上(月60時間超は50%以上)、休日労働35%以上、深夜25%以上。深夜+時間外=50%以上、深夜+月60h超時間外=75%以上。「休日労働」と「時間外労働」は重複しない。
年次有給休暇
| 勤続期間 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 20日 |
年5日の確実な取得義務:年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、基準日から1年以内に5日について時季を指定して取得させなければならない。
就業規則
常時10人以上の労働者を使用する事業場は作成・届出義務あり。絶対的必要記載事項は①始業終業時刻・休憩・休日②賃金③退職(解雇事由を含む)。労働者代表の意見聴取は必要だが「同意」までは不要。周知して初めて効力が発生する(最高裁判例)。
最重要判例シート
三菱重工業長崎造船所事件:労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を客観的に定める(更衣・移動時間も指揮下なら含む)。国際自動車事件:歩合給の計算において割増賃金相当額をそのまま差し引く給与体系は労基法37条の趣旨を逸脱し無効。
理解を深める補足解説
「労働者」と「使用者」の定義
労働基準法上の「労働者」は、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。正社員だけでなく、パート・アルバイトも含まれます。「使用者」は、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者で、役職名ではなく実質で判断されます。
平均賃金の考え方
平均賃金は、解雇予告手当や休業手当、年次有給休暇中の賃金などの算定に使われる基準額で、原則として「算定事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額÷その期間の総日数(暦日数)」で計算します。
休憩の与え方
- 労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分
- 労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間
- 労働時間の途中に、原則として一斉に与え、自由に利用させる
確認問題(○×)
- 平均賃金は、算定事由発生日以前3か月間の賃金総額を、その期間の総日数で割って算定する。
- 労働時間が6時間を超える場合、少なくとも45分の休憩を与えなければならない。
- 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は、25%以上である。
- 就業規則の作成・届出義務は、常時5人以上の労働者を使用する事業場に生じる。
- 賃金は、原則として毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
答えと解説
- ○:労働日数ではなく暦日数で割る点がポイントです。
- ○:8時間を超える場合は1時間以上です。
- ×:月60時間を超える部分は50%以上です。
- ×:常時10人以上の労働者を使用する事業場です。
- ○:賃金支払の4原則の一つです。
続きは 社会保険労務士 完全制覇②|労働安全衛生法+労災保険法 で、安全衛生管理体制の選任基準や、業務災害・通勤災害の認定基準を解説しています。
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