社会保険労務士 完全制覇②|労働安全衛生法+労災保険法【安全衛生管理体制・業務災害/通勤災害・保険給付】
社労士対策の第2回です。「業種」「企業規模」「専任・専属要件」の立体的把握が必須の労働安全衛生法と、業務災害・通勤災害の認定基準が重要な労働者災害補償保険法を扱います。
安全衛生管理体制の選任基準
| 役職 | 対象業種と規模 | 専任・専属要件 |
|---|---|---|
| 総括安全衛生管理者 | 林鉱建運清100人以上、製造業等300人以上、その他1,000人以上 | 定めなし |
| 安全管理者 | 屋外・工業的業種で50人以上 | 500人以上かつ事故率高で1人専任 |
| 衛生管理者 | 全業種で50人以上 | 1,000人超、または500人超で有害業務30人以上従事は専任 |
| 産業医 | 全業種で50人以上(3,001人超は2人以上) | 1,000人以上、または500人以上で深夜業等は専属 |
選任期限の横断ルール:総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医は、選任事由発生から14日以内に選任し、遅滞なく所轄労基署長へ届出。
安全委員会・衛生委員会
議長以外の委員の半数は労働者の過半数代表者(または過半数労働組合)の推薦に基づき指名。開催頻度は毎月1回以上。議事録は3年間保存。
健康診断の完全整理
| 区分 | 実施時期 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 雇入時健康診断 | 雇入れの際 | 5年間 |
| 定期健康診断 | 1年以内ごとに1回 | 5年間 |
| 特定業務従事者健診 | 6か月以内ごとに1回 | 5年間 |
| 特殊健康診断 | 雇入れ時・配置替え時・定期 | 5年間(電離放射線30年、石綿40年) |
ストレスチェック:常時50人以上の事業場は義務、1年以内ごとに1回。結果は実施者から直接受検者本人にのみ通知(労働者の同意がない限り事業者に通知不可)。
業務災害と通勤災害の認定基準
業務災害:業務遂行性(使用者の支配下・管理下)+業務起因性(業務と傷病の相当因果関係)の両方が必要。
通勤災害の逸脱・中断:原則、逸脱・中断の間およびその後の移動は「通勤」にならない。ただし日常生活上必要な行為(日用品購入、病院受診、選挙権行使、介護等)による最小限度の逸脱・中断は、合理的な経路に戻った後は再び「通勤」となる。
保険給付の全体構造
| 給付 | 業務災害 | 通勤災害 |
|---|---|---|
| 治療 | 療養補償給付 | 療養給付 |
| 働けない | 休業補償給付 | 休業給付 |
| 障害残存 | 障害補償給付 | 障害給付 |
| 死亡 | 遺族補償給付 | 遺族給付 |
休業(補償)給付:労務不能となった第4日目から支給(最初の3日間は待期)。支給額は給付基礎日額×60%+休業特別支給金20%=合計80%の実質補償。
障害(補償)給付:第1級〜第7級は年金、第8級〜第14級は一時金。
遺族(補償)年金の最優先順位者:妻(又は60歳以上の夫)>子>父母>孫>祖父母>兄弟姉妹。妻には年齢要件なし、夫・父母・祖父母は60歳以上、子・孫は18歳年度末まで。
特別加入制度の3区分
| 区分 | 対象者 | 要件 |
|---|---|---|
| 第1種特別加入 | 中小事業主・家族従事者 | 労働保険事務組合に事務委託、包括加入 |
| 第2種特別加入 | 一人親方等 | 団体を構成し申出 |
| 第3種特別加入 | 海外派遣者 | 事業主が申出 |
頻出引っかけ対比マトリクス
時効の年数:労災保険の療養・休業・葬祭・介護は2年、障害・遺族・特別支給金は5年。
不服申立て:労働者災害補償保険審査官(局)へ審査請求→労働保険審査会(本省)へ再審査請求の2審制。
理解を深める補足解説
労災保険の基本構造
労災保険は、労働者を一人でも使用する事業に原則として適用され、保険料は全額事業主が負担します。正社員だけでなく、パート・アルバイトも「労働者」として保護の対象です。給付は、業務災害に対する「補償」付きの給付と、通勤災害に対する給付に分かれ、内容はほぼ共通ですが、一部負担金など異なる点があります。
通勤災害が認められる3つの要素
- 就業に関し、移動が行われたこと
- 住居と就業の場所との間の往復など、法令で定められた移動であること
- 合理的な経路及び方法で行われたこと(業務の性質を有するものを除く)
経路を逸脱・中断した場合は、原則として、その間とその後の移動は通勤になりません。ただし、日常生活上必要な行為を最小限度の範囲で行った場合は、合理的な経路に戻った後から再び通勤とされます。
長時間労働者への医師による面接指導
休憩を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が、1か月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合、事業者は医師による面接指導を行わなければなりません。
確認問題(○×)
- 労災保険の保険料は、全額事業主が負担する。
- 休業補償給付は、労働不能となった日の最初の3日間(待期期間)は支給されない。
- 通勤の途中で日用品の購入のため最小限度の寄り道をした場合、合理的な経路に戻った後は再び通勤と認められる。
- 療養補償給付の請求権の時効は5年である。
- ストレスチェックの結果は、労働者の同意がなくても事業者に通知される。
答えと解説
- ○:労働者の負担はありません。
- ○:第4日目から支給されます。
- ○:日常生活上必要な行為による最小限度の逸脱・中断は例外とされます。
- ×:療養(補償)給付の時効は2年です。障害・遺族給付は5年です。
- ×:実施者から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供することはできません。
続きは 社会保険労務士 完全制覇③|雇用保険法+労働保険徴収法 で、基本手当の所定給付日数やメリット制、労働保険料の計算を解説しています。
コメント
コメントを投稿