危険物取扱者 乙4 合格講座③|物理・化学(燃焼の3要素・引火点と発火点・燃焼範囲・静電気・熱・酸化還元・消火理論)なぜ・比較・ひっかけ+全肢解説12問
① 本文の流れ(燃える条件→消す方法)を通しで読む
② 燃焼範囲の計算は例題で手を動かす
③ 演習12問は自分で答えを決めてからタップし、4肢すべての解説を確認
④ チェックリストで仕上げ
- 燃焼の3要素と燃焼の種類
- 引火点・発火点・燃焼範囲(計算あり)
- 静電気
- 熱と状態変化
- 物理変化と化学変化・酸化と還元
- 消火の理論と消火剤
- 本試験レベル演習12問
- 直前チェックリスト
1. 燃焼の3要素と燃焼の種類
燃焼とは、熱と光の発生を伴う酸化反応です。燃焼には①可燃物、②酸素供給源、③点火源(熱源)の3要素がすべて必要で、1つでも欠ければ燃焼は起こりません(これが消火の原理です)。空気中の酸素濃度が約14〜15%以下になると、一般に燃焼は継続しません。
| 燃焼の種類 | しくみ | 例 |
|---|---|---|
| 蒸発燃焼 | 液体の表面から蒸発した蒸気が燃える | ガソリン・灯油・アルコール(第4類全般)、硫黄・ナフタリン |
| 分解燃焼 | 加熱で分解して出た可燃性ガスが燃える | 木材・石炭・紙・プラスチック |
| 表面燃焼 | 固体の表面で直接酸素と反応(炎が出にくい) | 木炭・コークス |
| 自己燃焼(内部燃焼) | 分子内に含む酸素で燃える | セルロイド・ニトロセルロース(第5類) |
「第4類は液体そのものが燃える」は誤り。燃えているのは蒸発した蒸気です。だから液温が低くても、蒸気が十分に出ていれば引火します。また、二酸化炭素や窒素は燃えない(CO₂はすでに完全に酸化されている、窒素は酸素とほぼ反応しない)ので、可燃物にも酸素供給源にもなりません。
2. 引火点・発火点・燃焼範囲
| 用語 | 意味 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 引火点 | 点火源を近づけたとき引火する最低の液温(液面付近に燃焼範囲の下限濃度の蒸気を出す液温) | 「火を近づけて」燃える温度。低いほど危険 |
| 発火点 | 点火源がなくても、加熱により自ら燃え出す最低温度 | 「火がなくても」燃える温度。一般に引火点より高い |
| 燃焼範囲(爆発範囲) | 空気中で燃焼できる蒸気の濃度範囲(vol%) | 下限が低いほど、範囲が広いほど危険 |
| 物質 | 引火点 | 発火点 | 燃焼範囲 |
|---|---|---|---|
| ガソリン | −40℃以下 | 約300℃ | 1.4〜7.6vol% |
| 灯油 | 40℃以上 | 約220℃ | 1.1〜6.0vol% |
| ジエチルエーテル | −45℃ | 約160℃ | 1.9〜36vol% |
| 二硫化炭素 | −30℃以下 | 約90℃(第4類で最低クラス) | 1.3〜50vol% |
蒸気の濃度(vol%)= 蒸気の体積 ÷(蒸気の体積+空気の体積)×100
例:ガソリン蒸気5Lと空気95Lの混合気 → 5÷100×100=5vol%。ガソリンの燃焼範囲1.4〜7.6vol%の内側なので燃焼する。
ガソリン蒸気10Lと空気90Lなら10vol%で上限7.6を超えるため、濃すぎて燃焼しない。
灯油は発火点(約220℃)がガソリン(約300℃)より低い点に注意。「引火点が低い=発火点も低い」とは限りません。
3. 静電気
| 発生しやすい条件 | なぜ | 対策 |
|---|---|---|
| 電気を通しにくい(絶縁性の高い)液体 | 発生した電荷が逃げずにたまる。第4類の多くは不良導体 | 容器・配管を接地(アース)する |
| 流速が大きい | 摩擦が増え、電荷の分離が多くなる | 配管内の流速を遅くする |
| 湿度が低い | 空気中の水分を通じた放電(漏えい)が起こりにくい | 湿度を高くする(加湿・散水) |
| 合成繊維の衣服 | ナイロン等は帯電しやすい | 帯電防止服・靴を着用 |
静電気は、蓄積されたものが放電するときに火花となり、可燃性蒸気に引火します。静電気の発生自体を完全になくすことはできないため、「ためない・逃がす」が対策の基本です。
4. 熱と状態変化
| 用語 | 意味 | ポイント |
|---|---|---|
| 比熱 | 物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量 | 比熱が大きいほど温まりにくく冷めにくい(水は比熱が大きい→冷却消火に有効) |
| 熱伝導率 | 熱の伝わりやすさ | 大きいほど熱を伝えやすい(金属>液体>気体)。熱伝導率が小さい物質ほど熱が蓄積して燃えやすい |
| 沸点 | 液体の蒸気圧が外圧と等しくなる温度 | 外圧が高いほど沸点は高く、低いほど低い(高山では低い温度で沸騰) |
| 蒸発熱(気化熱) | 液体が気体になるとき周囲から奪う熱 | 水の蒸発熱は大きい→冷却効果 |
| 熱膨張 | 温度上昇で体積が増える | 液体は固体より膨張が大きい→容器に空間容積が必要 |
状態変化:固体→液体=融解、液体→固体=凝固、液体→気体=蒸発(気化)、気体→液体=凝縮、固体⇔気体=昇華。状態変化は物質そのものは変わらない物理変化です。
5. 物理変化と化学変化・酸化と還元
| 区分 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 物理変化 | 状態や形だけが変わり、物質そのものは変わらない | 氷が溶ける、ガソリンが蒸発する、ナフタリンの昇華、ニクロム線が赤熱する |
| 化学変化 | 別の物質に変わる | 木炭の燃焼、鉄がさびる、水の電気分解 |
| 酸化 | 還元 | |
|---|---|---|
| 酸素 | 酸素と化合する | 酸素を失う |
| 水素 | 水素を失う | 水素と化合する |
| 電子 | 電子を失う | 電子を受け取る |
酸化と還元は同時に起こります(一方が酸化されれば、他方は還元される)。燃焼は激しい酸化反応です。
6. 消火の理論と消火剤
| 消火方法 | 燃焼の3要素のどれを断つか | 例 |
|---|---|---|
| 除去消火 | 可燃物を取り除く | ガスの元栓を閉める、ろうそくの火を吹き消す(蒸気を吹き飛ばす) |
| 窒息消火 | 酸素の供給を断つ | 泡で覆う、二酸化炭素で酸素濃度を下げる、乾燥砂をかける |
| 冷却消火 | 熱を奪う | 水をかける |
| 抑制消火(負触媒効果) | 燃焼の連鎖反応を止める | ハロゲン化物、粉末消火剤、強化液 |
| 消火剤 | 第4類(油火災)への適応 | なぜ |
|---|---|---|
| 水(棒状) | 不適 | 油は水に浮き、水面に広がって火災が拡大する |
| 水(霧状) | 不適 | 同上 |
| 強化液(霧状) | 適 | 抑制効果がある |
| 泡 | 適 | 油面を覆い窒息させる。水溶性液体には水溶性液体用泡(耐アルコール泡)を使う |
| 二酸化炭素・ハロゲン化物 | 適 | 窒息・抑制 |
| 粉末 | 適 | 抑制・窒息 |
本試験レベル演習(全肢解説)
4肢で出題し、すべての肢に解説をつけています。
燃焼に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 燃焼には、可燃物、酸素供給源、点火源の3要素が必要である。
- 燃焼とは、熱と光の発生を伴う酸化反応である。
- 空気中の窒素は、酸素供給源として燃焼を助ける。
- 二酸化炭素は、すでに完全に酸化されているので燃えない。
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正解:3
酸素供給源は「空気中の酸素」と「酸化剤(第1類・第6類)」「分子内の酸素(第5類)」。
燃焼の種類と物質の組合せとして、誤っているものはどれか。
- 蒸発燃焼 ― ガソリン
- 分解燃焼 ― 木材
- 表面燃焼 ― コークス
- 分解燃焼 ― 硫黄
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正解:4
固体の蒸発燃焼は硫黄・ナフタリン。ここだけ例外として覚える。
引火点及び発火点に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 引火点とは、可燃性液体に点火源を近づけたとき引火する最低の液温をいう。
- 発火点とは、点火源がなくても、加熱により自ら燃え出す最低温度をいう。
- 引火点が低い物質ほど、引火の危険性は低い。
- 一般に、発火点は引火点より高い。
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正解:3
「低い」がつく指標(引火点・発火点・燃焼範囲の下限)は、低いほど危険。
ガソリンの燃焼範囲を1.4〜7.6vol%とするとき、次の混合気のうち、点火すると燃焼するものはどれか。
- ガソリン蒸気1Lと空気99L
- ガソリン蒸気5Lと空気95L
- ガソリン蒸気10Lと空気90L
- ガソリン蒸気20Lと空気80L
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正解:2
分母は「蒸気+空気」。空気だけで割らないこと。
燃焼範囲に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 燃焼範囲の下限値が低いほど、わずかな蒸気で燃焼するため危険性が高い。
- 燃焼範囲が広いほど、危険性が高い。
- 燃焼範囲は、空気中で燃焼できる可燃性蒸気の濃度範囲をvol%で表したものである。
- 燃焼範囲の上限値を超えて蒸気の濃度が高くなるほど、燃焼しやすくなる。
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正解:4
燃焼範囲は「ちょうどよい濃さ」の範囲。薄すぎても濃すぎても燃えない。
静電気に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 電気を通しにくい液体ほど、静電気が蓄積しやすい。
- 配管内を流れる液体の流速が大きいほど、静電気が発生しやすい。
- 湿度が低いほど、静電気は蓄積しにくい。
- 容器や配管を接地することは、静電気の蓄積防止に有効である。
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正解:3
静電気対策は「接地・流速を遅く・湿度を上げる・帯電防止服」。
熱に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 比熱の大きい物質ほど、温まりにくく冷めにくい。
- 熱伝導率の大きい物質ほど、熱を伝えやすい。
- 一般に、液体の熱膨張は固体より大きい。
- 比熱の大きい物質ほど、少ない熱量で温度が上がりやすい。
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正解:4
比熱が大きい=温まりにくい=熱をたくさん吸う→水の冷却効果の理由。
状態変化に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 液体が気体になることを蒸発(気化)という。
- 固体が液体を経ずに直接気体になることを昇華という。
- 液体の沸点は、外圧が低くなるほど高くなる。
- 液体が蒸発するときは、周囲から熱を奪う。
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正解:3
外圧↑→沸点↑、外圧↓→沸点↓(圧力鍋は高温で煮える)。
次のうち、化学変化に該当するものはどれか。
- 水が沸騰して水蒸気になる。
- ナフタリンが昇華する。
- 木炭が燃焼して二酸化炭素になる。
- ニクロム線に電流を流すと赤熱する。
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正解:3
「別の物質になったか?」で判断。状態変化・発熱・発光だけなら物理変化。
酸化と還元に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 物質が酸素と化合する反応を酸化という。
- 物質が水素を失う反応を酸化という。
- 物質が水素と化合する反応を酸化という。
- 酸化と還元は同時に起こる。
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正解:3
酸化=酸素+、水素−、電子−。還元はすべて逆。
消火に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ガスの元栓を閉めて火を消すのは、除去消火である。
- 泡で燃焼物を覆って消火するのは、窒息消火である。
- 一般に、空気中の酸素濃度を約14〜15%以下にすると燃焼は継続しない。
- ハロゲン化物消火剤の主な消火効果は冷却効果である。
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正解:4
抑制効果をもつのは「ハロゲン化物・粉末・強化液」。
第4類の危険物の火災に対する消火方法として、最も不適当なものはどれか。
- 泡消火剤で液面を覆う。
- 二酸化炭素消火剤を放射する。
- 棒状の水を放射する。
- 粉末消火剤を放射する。
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正解:3
第4類に水はダメ(霧状の強化液はOK)。
直前チェックリスト
- ☐ 燃焼の3要素、窒素・CO₂は燃えない
- ☐ 蒸発燃焼(第4類・硫黄・ナフタリン)、分解燃焼(木材)、表面燃焼(木炭)
- ☐ 引火点=火を近づけて、発火点=火がなくても
- ☐ 燃焼範囲の計算:蒸気÷(蒸気+空気)
- ☐ ガソリン1.4〜7.6vol%、灯油の発火点はガソリンより低い
- ☐ 静電気:絶縁性・流速大・低湿度で蓄積、対策は接地・流速を遅く・加湿
- ☐ 比熱大=温まりにくい、外圧↑で沸点↑
- ☐ 物理変化と化学変化の区別
- ☐ 酸化=酸素+・水素−・電子−
- ☐ 除去・窒息・冷却・抑制の4つ
- ☐ 抑制効果=ハロゲン化物・粉末・強化液
- ☐ 第4類に水(棒状・霧状)は不適、泡・CO₂・粉末は適
① 法令・前編
② 法令・後編
③ 物理・化学 ← 本記事
④ 性質・火災予防・消火
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※本記事は令和8年(2026年)9月時点の法令・公表情報をもとに作成した学習用オリジナル教材です。試験日程・出題形式・法令数値は改正される場合があります。受検前に必ず試験実施機関の最新の公式情報でご確認ください。
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